Polka Dots And Moonbeams verse付き
- 作曲: BURKE JOHNNY, VAN HEUSEN JIMMY

Polka Dots And Moonbeams verse付き - 楽譜サンプル
Polka Dots And Moonbeams verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Johnny Burke(作詞)とJimmy Van Heusen(作曲)による1940年のポピュラー・ソングで、現在はジャズ・スタンダードとして定着。タイトルにある「verse付き」は、コーラス(AABA)前に置かれる導入部=ヴァースを省略せず演奏する版を指す。初出はトミー・ドーシー楽団で歌ったフランク・シナトラの録音として知られ、柔らかなロマンティシズムと都会的な洒脱さで長く愛されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポはバラードが基本。形式は32小節のAABAで、ヴァースは自由拍感で情景や心情を語り、続くコーラスに滑らかに接続する。和声は属調進行やセカンダリードミナント、下降する内声進行などが要所に配され、旋律は滑らかなレガートと跳躍の対比が美しい。歌唱ではブレス配分と語り口、器楽ではルバートのイントロ、サブスティテュート・コード、ブロックコードや弓弾きなどで“歌心”を強調する解釈が好まれる。ヴァースを含めると物語の導入が明確になり、表現の幅が広がる。
歴史的背景
発表はスウィング黄金期の1940年。バーク&ヴァン・ヒューゼンの名コンビは数多くのスタンダードを残し、本曲も同時代の洗練と夢想的なムードを体現した。シナトラにとってはトミー・ドーシー楽団時代の初期代表曲の一つとなり、以後ビッグバンドから小編成ジャズ、ヴォーカルから器楽まで幅広い文脈で演奏され続ける礎となった。
有名な演奏・録音
代表的録音には、フランク・シナトラ&トミー・ドーシー楽団(1940)、ビル・エヴァンス・トリオ『Explorations』(1961)、ウェス・モンゴメリー『The Wes Montgomery Trio』(1959)、チェット・ベイカー『Chet Baker Sings』(1956)などが挙げられる。ヴァースを歌うヴォーカル版、コーラス部のみを扱う器楽版の双方があり、テンポ設定や和声置換の工夫で多彩な表情を見せる。
現代における評価と影響
今日でもセッションの定番バラードであり、歌詞の情景性とハーモニーの学習価値から教育現場でも取り上げられる。近年のシンガーはヴァースを復権させる傾向があり、曲の語りとしての流れを重視する演奏が増えている。映画・ドラマでの使用は情報不明だが、配信時代においても名演のアーカイブが豊富で、作品の親密なロマンティックさは色あせない。
まとめ
ヴァースを含めた完全形で味わうと、物語性と和声美がいっそう鮮明になる。ジャズ史に刻まれたラブ・バラードの名曲として、歌手にも奏者にも解釈の余地を広く与え続ける存在である。