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Oh Lady Be Good verse付き

  • 作曲: GERSHWIN GEORGE,GERSHWIN IRA
#スタンダードジャズ
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Oh Lady Be Good verse付き - 楽譜サンプル

Oh Lady Be Good verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Oh Lady Be Good」は、ジョージ・ガーシュウィン作曲、アイラ・ガーシュウィン作詞による1924年のブロードウェイ・ミュージカル『Lady, Be Good』由来の楽曲。32小節AABA形式のコーラスを持つ典型的なアメリカン・ソングブック作品で、冒頭に物語風の“ヴァース(前歌)”が付く版が存在します。ヴァースは自由な語り口で物語を導き、続くコーラス部で印象的な主題が明確化。スウィングからモダンまで幅広く演奏され、歌ものとしてもインストとしても親しまれるジャズ・スタンダードです。

音楽的特徴と演奏スタイル

コーラスはAABAの各8小節で構成。A部ではII–V進行を軸にしたスムーズな和声運動、B部では循環的なドミナント連鎖が現れ、即興の導線が自然に設計されています。テンポは中速〜速めのスウィングで取り上げられることが多く、シンコペーション豊かなメロディはスキャットやベバップ語法とも好相性。ヴァース付きの演奏では、ルバート気味の語りからリズムセクションがスウィングへ流入する対比が魅力となります。エンディングはタグ反復や延長カデンツで決める例が一般的です。

歴史的背景

本曲は1924年のブロードウェイで初公開され、その後すぐにポピュラー・ソングとして広まりました。レコード産業とラジオ放送の拡大に伴い、スウィング期を通じてダンスホールとジャム・セッションの定番へと成長。譜面出版やアレンジ集を通じて、歌手・バンド・弦楽合奏まで多様な編成で普及しました。舞台の文脈ではヴァースがドラマ的導入として機能し、ジャズ・クラブではコーラスを中心に即興を展開するなど、場面に応じた使い分けが行われてきました。

有名な演奏・録音

レスター・ヤングの1936年録音は軽やかなスウィング感と独創的フレージングで歴史的名演として知られます。エラ・フィッツジェラルドの1947年録音は躍動的なスキャットで大ヒットとなり、ヴォーカル面での本曲の可能性を広く示しました。ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリによるホット・クラブ系の演奏も名高く、ギターとヴァイオリンの機動力でコーラス構造の妙を引き出しています。ほかにも多数のビッグバンド、小編成コンボ、ソロ・ピアノで録音が残されています。

現代における評価と影響

「Oh Lady Be Good」は教育現場でも頻出の教材で、AABA形式でのソロ構築、II–Vへの対処、B部の循環処理などの練習に適しています。ヴァース付きの上演は、劇音楽における“語りから歌へ”の移行を学ぶ好例となり、スタンダード・レパートリーの文脈理解にも有益。ジャム・セッションではキーやテンポの自由度が高く、シンガーとインストゥルメンタリストの双方が魅力を発揮できる曲として継続的に愛されています。

まとめ

ブロードウェイ発の名曲である本作は、物語性を帯びたヴァースと、即興に適したAABAコーラスの二面性が長命の理由です。スウィングの軽快さからモダンな語法まで受け止める懐の深さを持ち、歴史的名演にも事欠きません。歌と器楽の橋渡しを行う代表的スタンダードとして、現在も舞台・教育・ステージのあらゆる場面で生き続けています。