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The Night We Called It A Day verse付き

  • 作曲: DENNIS MATT,ADAIR THOMAS M
#スタンダードジャズ
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The Night We Called It A Day verse付き - 楽譜サンプル

The Night We Called It A Day verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『The Night We Called It A Day』は、作曲Matt Dennis、作詞Tom Adairによるジャズ・バラード。スタンダードとして広く演奏され、歌詞を持つ楽曲である。発表年は情報不明だが、1940年代前半のアメリカン・ソングブック期に位置づけられる。タイトルに「verse付き」とある通り、冒頭に語り口のイントロ(ヴァース)が存在し、その後に本体のコーラスが続く構成が本来形とされる。別離の夜を静かに描く内容で、感情の起伏を抑えた内省的な表現が似合う。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポはバラードが基本。ヴァースは自由なテンポで始め、ピアノやギターのみで和声を提示し、歌の物語性を導入する演奏が定番。コーラスでは旋律が滑らかに上行・下行を交え、緊張と解放がじわりと交替する。和声は転回形やクロマチックな進行を含み、終止を曖昧に保つことで別離の余韻を作る。歌手はブレス位置と語尾のニュアンスが重要で、器楽奏者はレガート中心の歌心と、間合いを生かしたスペース作りが鍵となる。

歴史的背景

作者デニスとアデアは、スウィングからポピュラーへと橋渡しする時代の先鋭的な職業作家コンビとして知られる。本曲もダンスホール中心のアンサンブルから、ラジオやレコードで鑑賞する“聴かせるバラード”への移行を象徴する一篇で、ヴァースの物語性とコーラスの普遍性が共存している。初演者・初出媒体は情報不明。

有名な演奏・録音

フランク・シナトラの初期録音として広く知られ、のちに多くの歌手・ジャズメンに受け継がれた。近年ではボブ・ディランが2015年のスタンダード集で取り上げ、楽曲の耐久性を示した。その他の代表的音源の網羅は情報不明だが、ヴァースを省略せずに収めた録音は作品の陰影をより濃く伝える。

現代における評価と影響

今日ではヴォーカル曲のジャム・セッションや深夜のステージで選ばれる定番バラード。編曲では、ヴァースを独立した序章として置き、半音階的な再ハーモナイズやサブドミナント・マイナーの活用で哀感を強める例が見られる。映画・ドラマでの使用は情報不明だが、プレイリスト文化の中で失恋バラードの文脈で再評価が進む。

まとめ

ヴァースから始まる内省的な設計、滑らかな旋律と繊細な和声、そして普遍的な別離の物語によって、『The Night We Called It A Day』はジャズ・スタンダードとして生き続けている。ヴァース付きで向き合うほど、その本質が立ち上がる一曲だ。