The Nearness Of You verse付き
- 作曲: CARMICHAEL HOAGY

The Nearness Of You verse付き - 楽譜サンプル
The Nearness Of You verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「The Nearness of You」は、作曲CARMICHAEL HOAGY、作詞NED WASHINGTONによる1938年発表のバラード。現在はジャズ・スタンダードとして広く演奏される。ここでいう「verse付き」とは、コーラス(AABA)前に置かれる導入部のヴァースを省略せず歌う版を指す。ヴァースは物語の状況を提示し、続く主題の情感を下支えする重要な役割を担う。
音楽的特徴と演奏スタイル
主部は32小節AABA形式。滑らかな旋律線と、穏やかなテンポの中で呼吸と間を生かす表現が要。ハーモニーは半音階的な進行と豊かな転回系が魅力で、バラードらしいルバートの導入や、半拍裏のレイバックも定番。ヴァースは自由度が高く、語り口で物語を置き、コーラスへ流れ込む設計が効果的だ。
歴史的背景
本作は大恐慌後からスウィング期へ向かう1930年代アメリカのポピュラー歌曲の文脈で生まれ、のちにジャズ・レパートリーへ定着した。初出の舞台や映画については情報不明。ビッグバンド期には歌手と大型編成のバラード・ナンバーとして親しまれ、戦後のモダン・ジャズでも愛奏曲として継承された。
有名な演奏・録音
1940年、グレン・ミラー楽団(ヴォーカル:Ray Eberle)の録音がヒットし、楽曲の知名度を高めた。名唱としてはElla Fitzgerald & Louis Armstrong(1956)が広く支持され、Sarah Vaughanの洗練された解釈も評価が高い。21世紀にはNorah Jonesのカバーで新たな聴衆へ届き、器楽でもテナーサックスやトランペットのバラード定番となった。
現代における評価と影響
今日では音楽大学やワークショップの教材にも採られ、歌手はヴァースの有無を美学的選択として扱う。ヴァース付きは物語性と心理的な深みを補強し、アドリブ前の緊張と解放を設計しやすい点が利点。配信時代でも多数の名演が聴取可能で、映像作品での使用状況は情報不明ながら、スタンダードとしての地位は揺るがない。
まとめ
端正な旋律美と情景描写に富む詞が融合した名曲で、ヴァースを含めて演奏することで楽曲の動機と情感がより鮮明になる。ボーカルは語りから歌への移行を丁寧に設計し、器楽奏者もヴァースの和声を踏まえた導入を試すと説得力が増す。初めて触れる人にも、まずは「verse付き」での全体像を薦めたい。