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My Heart Stood Still verse付き

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#スタンダードジャズ
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My Heart Stood Still verse付き - 楽譜サンプル

My Heart Stood Still verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Richard Rodgers作曲、Lorenz Hart作詞による1927年のブロードウェイ楽曲。初演はミュージカル『A Connecticut Yankee』で、後年まで歌い継がれるスタンダードとなった。「verse付き」は本来の前口上(ヴァース)を含めて演奏・歌唱する版を意味し、リフレイン前に物語的導入が置かれるのが特徴。舞台由来の語りと、観客を歌の核心へ連れていく設計がこの曲の魅力をいっそう際立たせる。

音楽的特徴と演奏スタイル

柔らかい旋律線と明快な和声運びが魅力で、ヴァースは語り口のようなフレーズ、続くリフレインは伸びやかなメロディが中心。テンポ設定はバラードからミディアム・スウィングまで幅があり、ヴォーカルでは言葉のニュアンスを生かしたレガート、器楽では歌心を重視したシンプルなアドリブが好まれる。キーやイントロ/エンディングの扱いは編曲により可変で、ヴァースの有無が全体の情感を大きく左右する。

歴史的背景

1920年代後半は、ロジャース&ハートがブロードウェイで躍進した時期。本曲も舞台発のポピュラー・ソングとして発表され、ラジオやレコードを通じて広く親しまれた。その後、ダンス・バンドやジャズ・ミュージシャンに取り上げられ、いわゆる“アメリカン・ソングブック”の重要曲として定着。舞台からジャズ・クラブまで領域を越えて演奏されるようになり、世代を超えてレパートリーとして受け継がれている。映画での具体的な使用情報は情報不明。

有名な演奏・録音

代表的な録音の一つに、Ella Fitzgerald『Sings the Rodgers & Hart Song Book』(1956)が挙げられる。舞台由来の楽曲としての格調と、ジャズ表現への親和性を兼ね備え、多数の歌手・プレイヤーがレパートリーに加えてきた。ヴァースを保持するアレンジと、リフレインのみで構成するアレンジの双方が存在し、場面や編成に応じて選択される。他の具体的な著名録音やチャート成績の詳細は情報不明。

現代における評価と影響

今日でもボーカル・オーディションやリサイタル、ピアノ・トリオのレパートリーで頻繁に選ばれる。ヴァースを含めるか否かで雰囲気が大きく変わるため、舞台性を重視する公演ではヴァース付き、クラブやセッションではリフレインから入る形が選ばれやすい。歌詞と旋律の親密さはフレージング学習にも適し、スタンダード曲の文脈理解に有用な教材として扱われることがある。

まとめ

『My Heart Stood Still』は、ロジャースの流麗な旋律美とハートの洗練された言葉運びが凝縮された名曲。ヴァースを備えた原形を理解することで、物語性と情感の幅が一層広がる。出自はブロードウェイ、現在はジャズ・スタンダードとして生き続ける——その越境性こそが本曲の価値であり、演者の解釈次第で多様な表情を見せる懐の深さを備えている。