I'm Glad There Is You verse付き
- 作曲: DORSEY JIMMY,MADEIRA PAUL

I'm Glad There Is You verse付き - 楽譜サンプル
I'm Glad There Is You verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「I'm Glad There Is You(In This World of Ordinary People)」は、Jimmy Dorsey(作曲)とPaul Madeira(作詞)によるバラード。発表年は一般に1941年とされ、スウィング時代のポピュラー・ソングとして生まれたのち、ジャズ・スタンダードとして定着しました。英語詞を持つヴォーカル曲で、演奏では歌入り・インストゥルメンタルの双方で親しまれます。タイトルにある“verse付き”は、リフレイン(本編)前に置かれる導入部の有無を示し、近年の演奏や出版物では省略されることも少なくありません。
音楽的特徴と演奏スタイル
抒情的な旋律線と、歌詞の語り口を活かすバラード・テンポで演奏されることが多い楽曲です。verseは語るようなフレージングで始まり、物語の情緒を整えてからリフレインへと導きます。ハーモニーはスタンダードらしい機能和声を軸に、歌伴・ソロ双方で表情を付けやすい設計。歌手はブレスの配置や語尾のニュアンスで深みを出し、器楽奏者はロングトーンや間合いを重視したバラード・アプローチで歌心を示すのが定石です。キーやテンポ設定は演者により幅があり、リハーモナイズやテンション使いで現代的な色合いに更新される例もよく見られます。
歴史的背景
本曲はスウィング黄金期に登場し、当時のダンス・ミュージックとラジオ文化の広がりの中で支持を獲得しました。副題“In This World of Ordinary People”が示すとおり、日常の世界の中に見いだす特別な存在への感謝と親密さを、控えめで気品ある語り口で描くのが特徴です。こうした普遍的テーマは時代を超えて共感を呼び、ビッグバンドの歌伴から小編成コンボまで幅広い編成に移植されることでレパートリーに定着していきました。出版・初演の詳細な資料は版によって記載が異なる場合があり、厳密な初出情報は一部で情報不明とされます。
有名な演奏・録音
初期の重要録音として、Jimmy Dorsey and His Orchestra(ヴォーカル:Bob Eberly)による演奏が知られています。その後は多数の歌手・ジャズ奏者が取り上げ、クラブ、コンサート、スタジオ録音で定番化しました。バラード・アルバムや歌伴の名盤群にもたびたび収録され、verseまで含めて演じるバージョンと、リフレインから入るバージョンが混在します。代表的録音の網羅的リストは情報不明ですが、ディスコグラフィーや配信サービスのクレジットを参照することで、時代やアレンジの違いを比較しながら鑑賞できます。
現代における評価と影響
「I'm Glad There Is You」は、ヴォーカルの表現力や歌詞解釈、器楽の歌心を磨く教材としても高く評価されます。ジャム・セッションやリサイタルでの採用例が多く、スタンダード曲集への収録も一般的です。verse付きの版を学ぶことで、曲の導入から物語を丁寧に織り上げる感覚が身につき、演技的な語りと音楽的フレージングの連携を鍛えられます。録音技術や編曲の進化に伴い、クラシック寄りの室内楽的アプローチからモダン・ジャズのリハーモナイズまで、解釈の幅は今も広がり続けています。
まとめ
本曲は、上質な歌詞と旋律、そしてverseがもたらす物語性によって、世代を超えて愛されるジャズ・スタンダードです。演奏ではテンポやキー、verseの扱いをどう設計するかが聴きどころ。初期録音から現代の再解釈まで聴き比べることで、シンプルな素材に潜む表現の可能性を実感できるでしょう。