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I Hear Music verse付き

  • 作曲: LANE BURTON
#スタンダードジャズ
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I Hear Music verse付き - 楽譜サンプル

I Hear Music verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

I Hear Musicは、作曲Burton Lane、作詞Frank Loesserによるポピュラー・ソングで、今日ではジャズ・スタンダードとして広く親しまれています。コーラス部は32小節AABA型が一般的で、冒頭に独立した導入部である“ヴァース(verse)”を持つのが原曲の設計です。多くのジャズ演奏ではヴァースが省略されますが、「verse付き」と明示される場合は、歌の物語や情緒を導く前口上としてヴァースを含める演奏を指します。発表年は1940年、初出の具体的媒体は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

コーラスは快活なスウィング・フィールと、循環進行(II–V連鎖)を軸にした明快な和声が特徴。メロディは跳躍と順次進行が適度に交錯し、記憶性の高いフレーズが並びます。テンポは中速からやや速めが定番で、ヴォーカルでは軽やかなスウィング、器楽ではウォーキング・ベースと4ビートの乗りでドライヴ感を作るのが一般的。ヴァースは語り口のレチタティーヴォ的な書法で、ルバート気味に始めてからリズムセクションがコーラスでスイングに移行、という運びがよく見られます。キーは歌手や編成に合わせて可変で、モジュレーションや再現Aでのアドリブ・フェイクなどの工夫も行われます。

歴史的背景

同曲は1940年前後のアメリカン・ポピュラー音楽の文脈で生まれ、映画やショー・ソング由来のスタンダード群と同様に、ジャズのレパートリーへ取り込まれました。LaneとLoesserのコンビは当時の第一線で活躍し、洗練された言葉運びと都会的なハーモニー感覚で、多数の楽曲が後年まで歌い継がれています。I Hear Musicもその系譜にある一曲で、ヴァースからコーラスへと感情とテンションを段階的に高めていく設計が、ステージで映える要素となりました。なお、初演の具体的作品名・歌い手などの詳細は情報不明です。

有名な演奏・録音

1940年代のスウィング期からモダン・ジャズ以降まで、多数のヴォーカリストと器楽奏者によって録音されています。ビッグバンドによる華やかなアレンジ、ピアノ・トリオの端正なスウィング、ギター主体の軽快なコンボなど、解釈の幅が広いのも魅力。ライブではヴァースを省略するケースが多い一方、アルバムやコンサートで“物語性”を重視する歌手はヴァースを丁寧に取り入れ、曲全体の起伏を際立たせます。具体的な代表録音名・年は情報不明ですが、複数の歴史的・現代的名演が現存しています。

現代における評価と影響

I Hear Musicは、明快なフォームとスイング感、アドリブ展開のしやすさから、教育現場やセッションでも扱いやすいスタンダードとして定着しています。ヴァース付きの演奏は曲のメッセージ性を補強し、歌詞の状況設定からコーラスの快活さへ移る“物語のアーチ”を感じさせます。編曲面では、イントロをヴァースに置き換えたり、ヴァースの和声素材を間奏に引用したりと、ステージ構成を豊かにする実用性も高いと評価されています。

まとめ

I Hear Musicは、コーラスのキャッチーさと、ヴァースによる語りの導入が両立したスタンダードです。セッションでは省略されがちなヴァースをあえて採用することで、曲の魅力とドラマ性が一段と際立ちます。形式はAABAの王道で、和声はジャズ語法に馴染みやすく、歌・器楽ともに表現の余地が大きい一曲。歴史的ディテールの一部は情報不明ながら、その普遍的な構造と多彩な解釈の余地によって、今後も演奏現場で生き続ける楽曲といえるでしょう。