I Didnt Know What Time It Was verse付き
- 作曲: RODGERS RICHARD

I Didnt Know What Time It Was verse付き - 楽譜サンプル
I Didnt Know What Time It Was verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Richard Rodgers作曲、Lorenz Hart作詞による1939年ブロードウェイ・ミュージカル『Too Many Girls』の楽曲。リフレインは32小節AABA形式で、冒頭には物語的な導入部=ヴァースが置かれる。本記事は“verse付き”の版を前提に、曲の構造と位置づけ、聴きどころを整理する。
音楽的特徴と演奏スタイル
ヴァースは自由テンポで語りかける導入となり、リフレインで明確な拍感に移行するのが典型。和声はII–V連鎖や半音階的進行を含み、旋律は会話的で息の流れを重視する。歌はバラードからミディアム・スイングまで適応し、器楽ではリハーモナイズやモーダルな拡張も行われる。
歴史的背景
初演は1939年の『Too Many Girls』。当時のアメリカ流行歌曲は、舞台の状況説明を担うヴァースと、印象的なサビ=リフレインの二部構成が一般的だった。本曲もその慣習を踏まえ、のちに映画版でも使用。戦後はジャズ界で広く取り上げられ、アメリカン・ソングブックの重要曲となった。
有名な演奏・録音
象徴的な録音として、Ella Fitzgeraldの『Rodgers & Hart Song Book』(1956)が知られる。以後、多数の歌手・奏者が取り上げ、ヴァースを省略する短縮版と、物語性を重視する“verse付き”の完全版が並行して演奏されている。具体的な映画内での歌唱者名は情報不明。
現代における評価と影響
セッション定番曲として教育現場でも重用され、譜面集や教材に広く収録。ヴァースからリフレインへの推進力、AABAのコントラスト、ブリッジでの緊張と解放が学習素材として優れる。歌手は語りと歌の切替え、器楽奏者は和声連結とモチーフ展開を磨ける点が高く評価される。
まとめ
『I Didnt Know What Time It Was』は、ロジャース&ハートの職人芸が結実したジャズ・スタンダード。ヴァースを含めることで物語性とテーマ性が立ち上がり、即興にも耐える堅牢な構造が演奏家を刺激し続ける。起源と形式を理解すれば、解釈の幅はさらに広がる。