It Don't Mean A Thing verse付き
- 作曲: ELLINGTON DUKE

It Don't Mean A Thing verse付き - 楽譜サンプル
It Don't Mean A Thing verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
デューク・エリントン作曲、作詞はIrving Mills。正式題は“It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)”。1932年、Ivie Andersonを迎えた自楽団の録音で広く知られた。ここで言う「verse付き」とは、リフレインの前に置かれる導入部(前歌)まで含めて演奏する形を指し、版や演奏によって省略されることも多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
32小節のAABA形式が一般的。シンプルなリフとコール&レスポンス、明快なシンコペーションが核で、スウィング・フィールの表現が何より重要とされる。verseはしっとり語りかけるように始まり、リフレインでテンポを上げる構成も定番。スキャットやブラスのショウト、短いソロ回しなど、編成を問わず映える。
歴史的背景
楽曲は1931年頃に書かれ、ニューヨークのコットン・クラブで鍛えられたエリントン楽団のサウンドを象徴する作品となった。タイトル自体が“スウィングしていなければ意味がない”という時代精神を端的に示し、1930年代のダンス・バンドからモダン・ジャズ以降まで、リズム意識の基準点として受け継がれている。
有名な演奏・録音
代表例は1932年のデューク・エリントン楽団+Ivie Anderson。ほかにエラ・フィッツジェラルドの『Duke Ellington Song Book』、デューク楽団の各種ライヴ録音、近年ではTony Bennett & Lady Gaga『Cheek to Cheek』(2014)など。ビッグバンドや小編成向けの定番アレンジも多い。
現代における評価と影響
本作はジャズ教育やセッションの入口としても重視され、リズムの乗り方、スウィングの解釈、コール&レスポンスの作法を一曲で学べる教材的側面を持つ。ボーカルは歌詞のフレーズ感とスキャット、インストはリフのキレとダイナミクス設計が評価の鍵となる。
まとめ
「It Don't Mean A Thing」は、メロディ以上に“ノリ”が価値の中心にあることを示した金字塔である。省略されがちなverseを含めて取り上げることで、物語的な起伏とスウィングへの導入がより明確になり、楽曲本来の設計が立ち上がる。演奏者にも聴き手にも再発見を促す一曲だ。