It's Easy To Remember verse付き
- 作曲: RODGERS RICHARD

It's Easy To Remember verse付き - 楽譜サンプル
It's Easy To Remember verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「It's Easy to Remember (And So Hard to Forget)」は、作曲リチャード・ロジャース、作詞ロレンツ・ハートによる1935年の楽曲。映画『Mississippi』でビング・クロスビーが歌い広く知られた。ここでは希少ながら重要な“ヴァース付き”の形に焦点を当て、その魅力と背景を概説する。
音楽的特徴と演奏スタイル
抒情的なバラードで、導入のヴァースが独白のように情景を整え、続くリフレインはAABAの32小節形式で展開するのが一般的。滑らかな順次進行と半音階的な和声が切なさを強調し、ゆったりしたテンポでの間合いが生命線となる。ジャズではピアノ・トリオや小編成を基調に、歌唱でも器楽でも余白を生かしたフレージングが求められる。
歴史的背景
本作はロジャース&ハートの黄金期に生まれ、ブロードウェイ由来の洗練と映画音楽の大衆性を兼備した作品群の一角を成す。1930年代の“アメリカン・ソングブック”に属し、映画公開を機に多くの歌手・演奏家に取り上げられてスタンダード化した。
有名な演奏・録音
代表的な録音として、初演者ビング・クロスビーの音源に加え、ジョン・コルトレーン『Ballads』での端正な解釈、ビル・エヴァンス『Explorations』の透明感あるピアノ・トリオ版が挙げられる。歌唱では多数の名歌手が録音を残すが、ヴァースまで完全に演奏する例は比較的少ない。
現代における評価と影響
現在もバラード解釈の教材曲として重用され、ヴァース有無で印象が大きく変わる実例として研究対象となる。ライブでは語りの導入としてヴァースのみを短く用いる編曲も見られる。映画『Mississippi』以外の具体的な映像使用履歴は情報不明。配信時代でも新録が継続し、スタンダードとしての地位を堅持している。
まとめ
ヴァースの語りとAABAの端正なリフレインが織りなす滋味が、本曲の核心。静かな旋律に滲むほろ苦さが、世代やジャンルを越えて聴き継がれている。“ヴァース付き”で出会うことで、物語性はいっそう立ち上がる。