It's A Sin To Tell A lie verse付き
- 作曲: MAYHEW BILLY

It's A Sin To Tell A lie verse付き - 楽譜サンプル
It's A Sin To Tell A lie verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
1936年発表、作曲はBilly Mayhew。歌もののスタンダードで、イントロに当たるヴァースと32小節AABAのコーラスから成る構成が原型。歌詞の主題は、恋の場面でつく嘘の罪深さと誠実さの大切さ。タイトルの「verse付き」は、しばしば省略されるヴァースを含めて演奏・収録する版を指す。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は順次進行を中心に語り口が立つ設計で、言葉のアクセントが音形に自然に乗る。和声は機能的で、要所をセカンダリー・ドミナントやツーファイブが彩る。テンポはミディアムからバラードまで幅広く、2ビートのスウィング、4ビート、時にボサノヴァ風など多様に解釈可能。ヴァースは自由なルバートで導入し、コーラスでビートが明確化するのが定番だ。
歴史的背景
本曲はティン・パン・アレー全盛期の歌として出版・流布し、ラジオやダンスホールを通じて人気を獲得。1936年のファッツ・ウォーラーの録音がヒットし、以降スウィング時代のレパートリーへ定着。道徳的メッセージを含む歌詞が時代の空気と響き合い、世代を超えて歌い継がれてきた。
有名な演奏・録音
初期の決定版としてFats Waller(1936)が知られ、The Ink Spotsによる後年のヒットも著名。ジャズ・ヴォーカリストやピアニストがこぞって録音し、ヴァースを完全に歌う版と、コーラスのみで始める版が併存する。映画やドラマでの使用例についての網羅的情報は情報不明。
現代における評価と影響
今日もアメリカン・ソングブックの定番として、セッションやレッスンで頻出。明快な和声進行と余白のある旋律は、アドリブやリハーモナイズの教材として有用で、ヴォーカルの表現力を測る試金石にもなる。ヴァースを採用するアレンジは、物語性とダイナミクスを強調できる点で評価が高い。
まとめ
「嘘をつくのは罪」という普遍的テーマと、ヴァースから本編へ開くドラマ構造が魅力。名演を手掛かりに、ヴァース付きと省略版を聴き比べることで、このスタンダードの奥行きをより深く味わえるだろう。