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From This Moment On verse付き

  • 作曲: PORTER COLE
#スタンダードジャズ
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From This Moment On verse付き - 楽譜サンプル

From This Moment On verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「From This Moment On」は、コール・ポーターによる流行歌で、のちにジャズ・スタンダードとして確立した名曲である。原曲にはリフレインの前に短い導入部(ヴァース)が存在し、「verse付き」はその序章を含めて演奏・歌唱する版を指す。発表年の厳密な特定は情報不明だが、舞台と映画の文脈を通じて広く知られるようになり、今日まで多くの歌手・演奏家のレパートリーに残っている。

音楽的特徴と演奏スタイル

メロディは歯切れよく、ポーターらしいウィットを感じさせるフレーズが特徴。調性感は明快で、ジャズ化しやすい進行や半音階的な接近音が随所に現れ、アドリブ素材にも富む。ヴァースは静かな語り口で物語の前振りを担い、リフレインでテンポを上げてスウィングする運びが一般的だ。ボーカルはミディアム〜アップの軽快なテンポが映え、器楽ではブラスのキメや伴奏のシンコペーションで躍動感を強調するアレンジが好まれる。ヴァースを活かすとドラマ性が増し、コンサートのオープナーにも適する。

歴史的背景

本作はブロードウェイ黄金期に書かれ、後年MGM映画『キス・ミー・ケイト』(1953)に挿入されて大きく認知を広げた。戦後アメリカの都会的洗練を体現するレパートリーとして、ナイトクラブやテレビの音楽番組でも頻繁に取り上げられ、いわゆる“アメリカ歌曲集(Great American Songbook)”の重要曲として定位置を築く。ヴァースは当時の上演慣習を反映した形式で、近年は再評価により復活させる演奏も増えている。

有名な演奏・録音

代表的な歌唱として、エラ・フィッツジェラルドの『Cole Porter Song Book』(1956)や、フランク・シナトラの『A Swingin’ Affair!』(1957)がよく知られる。近年ではダイアナ・クラールがアルバム『From This Moment On』(2006)で取り上げ、端正なスウィング感で再注目を集めた。ビッグバンドから小編成コンボまで編成を問わず録音が多く、ヴァースを残すか省くかで雰囲気が大きく変わるのも聴きどころだ。

現代における評価と影響

セッションの定番曲として広く共有され、音楽教育の現場でも研究対象となる。前向きでエレガントなムードは広告や舞台のBGMにも適し、年代を超えて活用されている。ヴァースを含めた演奏はストーリーテリングを強化し、ボーカルの表現幅を広げる選択肢として重宝されている。

まとめ

「verse付き」で原型に立ち返ると、導入からリフレインへの昂揚が一層鮮明になり、作品の完成度が際立つ。時代を超えるメロディと洗練された和声が本曲の普遍性を支え、ジャズ・スタンダードとしての価値をいまも更新し続けている。