あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

Comes Love verse付き

  • 作曲: BROWN LEW,TOBIAS CHARLES,STEPT SAM H
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Comes Love verse付き - 楽譜サンプル

Comes Love verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Comes Love verse付きは、作曲Sam H. Stept、作詞Lew BrownとCharles Tobiasによる1939年のポピュラー・ソング。現在はジャズ・スタンダードとして広く親しまれている。ここでの“verse付き”とは、本体の前に置かれる序唱(ヴァース)を含む版を指し、しばしば省略される導入部の歌詞と旋律まで含めて演奏することを意味する。比喩に富んだ歌詞の全文はここでは扱わないが、恋の避けがたい力をユーモラスかつ機知に富んだ言い回しで描くのが核である。

音楽的特徴と演奏スタイル

本体は32小節AABA形式のミディアム・スイングで、流麗なメロディとII–V進行を核にしたハーモニーが特徴。ヴァースは語り口風でリタルダンドを伴い、歌詞の機微を提示してから本編へ導く。テンポは中庸からやや速めまで幅広く、ボーカルでは言葉遊びを活かした間合い、器楽ではビバップ語法のアドリブにも相性がよい。キーは演者によって柔軟に設定され、トニックへの回帰感が明快なため、エンディングのフェルマータやタグ追加などアレンジの自由度も高い。

歴史的背景

発表は1939年。スウィング黄金期のアメリカで、“ヴァース+本体”という構成をもつブロードウェイ系ポピュラー・ソングがジャズに取り込まれていった流れの中で定着した。初演者や初出舞台の詳細は情報不明だが、出版後まもなくダンスバンドとジャズ歌手の双方に広まり、標準曲集に収録される代表曲となった。ヴァースを省略する演奏が一般的になる一方、物語性を重視する歌手はヴァースを残し、楽曲の意味合いを豊かに提示してきた。

有名な演奏・録音

ビリー・ホリデイによる1939年の録音は、本曲の決定的解釈のひとつとして広く知られる。以後、数多くのジャズ・ボーカリストが取り上げ、器楽奏者もレパートリーに加えている。映画やテレビでの使用例は情報不明だが、スタンダード集やライヴ盤での採録が多く、ジャム・セッションでも頻出する。ヴァースを含めるか否か、テンポやビートの選択、タグの付け方などで各演者の個性が際立つ点も名演を生む要因である。

現代における評価と影響

ヴァースを含めて演奏するか否かで表情が大きく変わるため、歌手の表現力やアレンジャーの構成力を測る教材曲としても重宝される。比喩に富む歌詞は訳詞・解釈の余地が広く、現代のステージでも観客との対話を生む。音域が適度でキー選択の自由度も高く、学生バンドからプロまで幅広く演奏されている。結果として、同時代曲の中でも継続的に採譜・出版・録音が行われ、レパートリーの核を保ち続けている。

まとめ

Comes Loveは、機知に富む歌詞と歌心ある旋律、そしてヴァースの存在が生む語りの厚みで、今なお輝きを保つジャズ・スタンダードである。史資料の一部は情報不明ながら、1939年生まれの名曲として、多彩なテンポやスタイルに耐える柔軟性を示し、歌手・奏者双方の創造性を誘発してきた。ヴァース付きで味わうことで、楽曲本来の設計意図と物語性がより立体的に浮かび上がる。