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Darn That Dream verse付き

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY
#スタンダードジャズ
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Darn That Dream verse付き - 楽譜サンプル

Darn That Dream verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Jimmy Van Heusen作曲のDarn That Dreamは、Eddie DeLange作詞によるバラード。1939年のブロードウェイ作品Swingin’ the Dreamで初披露され、その後ジャズ・スタンダードとして定着した。「verse付き」とは、本編のAABAに入る前の導入部(ヴァース)まで含めて演奏する版を指し、近年は割愛されがちなヴァースを再評価する文脈で用いられる。歌詞の全文はここでは扱わないが、ロマンティックで憂いを帯びた内容が核にある。

音楽的特徴と演奏スタイル

AABA32小節の本編は、柔らかな旋律線と精巧な機能和声が特徴。セカンダリードミナントや半音進行が多用され、終止はときに偽終止で含みを残す。ヴァースは自由なルバートで語り口のように歌い、コーラスからはスロー〜ミディアムスローのテンポに落ち着くのが定番。ボーカルはレガートと微細なダイナミクス、ホーンは息の乗ったロングトーンと繊細なヴィブラートが肝。調性やキーは歌手・編成により可変で、リハーモナイズも盛んだが原曲の情感は損なわれにくい。

歴史的背景

本曲はティン・パン・アレー最盛期の文脈で生まれ、シェイクスピア喜劇をスウィング化した舞台Swingin’ the Dreamのために書かれた。舞台自体は短命だったが、楽曲は独立して広まり、ラジオやダンスホール、後年のモダン・ジャズ期まで息長く愛奏された。ヴァースは当時の舞台歌に典型的な「状況説明」の役割を担い、劇場からレコードへ媒体が移るにつれ省略される慣行が一般化した。今日「verse付き」と明示することは、原初のドラマ性を回復する選択にもつながる。

有名な演奏・録音

初期にはビッグバンドのレパートリーとして取り上げられ、とりわけBenny Goodman楽団の録音で広く知られるようになった。モダン期ではMiles DavisのBirth of the Coolに収録されたバージョン(ボーカルはKenny Hagood)が代表的で、クールなアレンジが楽曲の陰影を際立たせる。以降、数多の歌手と器楽奏者が録音を残し、バラード教材としても定番化。個々の名演は編成やテンポ、ヴァース採用の有無でキャラクターが大きく変わる。

現代における評価と影響

今日でもセッションやリサイタルで頻出するバラードで、歌詞の切なさと上品な和声が幅広い世代に支持される。フェイクブックや教育用資料に掲載され、アドリブの声部処理、テンション運用、コール&レスポンス、ブレス設計の学習題材として重宝される。ヴァースを併奏する編曲も増え、原曲構造への関心が再燃。ボーカルと器楽の双方で「語る力」を磨ける曲として評価が高い。

まとめ

舞台発のロマンティックなバラードとして誕生し、スタンダードへと昇華したDarn That Dream。ヴァース付きで味わえば物語性が増し、本編の哀感がいっそう際立つ。歴史と様式を踏まえ、適切なテンポ、間合い、音色で表情を彫り込むことが、この曲を最大限に生かす近道だ。