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Mahjong
- 作曲: SHORTER WAYNE

Mahjong - 楽譜サンプル
Mahjong|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Mahjongは、ウェイン・ショーター(作曲者表記:SHORTER WAYNE)によるインストゥルメンタル楽曲。初出はBlue Noteから発表されたリーダー作『JuJu』で、録音は1964年8月3日、ニュージャージー州エングルウッド・クリフスのVan Gelder Studioにて行われ、発売は1965年。編成はテナー・サックス:ウェイン・ショーター、ピアノ:マッコイ・タイナー、ベース:レジー・ワークマン、ドラム:エルヴィン・ジョーンズ。プロデュースはアルフレッド・ライオン、エンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダー。歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
本作はショーターの60年代前半の語法を示す一曲で、凝縮された主題と発展性の高い和声設計が特徴。リズム・セクションにはコルトレーンの黄金期を支えたタイナー/ワークマン/ジョーンズが参加し、クォータル・ヴォイシングや多層的なポリリズムによって、ハード・バップの推進力とモーダルな開放感が共存する即興空間を生み出す。ソロは主題の動機を核に、余白を活かしたフレージングと緊張と弛緩のコントラストで展開。各楽器の相互作用が音響のダイナミクスを有機的に育てる点も聴きどころである。
歴史的背景
1964年はショーターがArt Blakey & The Jazz Messengers在籍期の終盤にあたり、同年のリーダー作『Night Dreamer』『JuJu』、続く『Speak No Evil』(1964年録音)へと至る過程で、作曲家としての独自性が急速に結晶化した時期に当たる。Blue NoteとVan Gelder Studioの録音美学は、透明度の高い音像で彼の構想を支え、当時のニューヨーク・ジャズ・シーンの革新性を鮮明に刻印した。Mahjongはその文脈の中で、アルバムを構成する重要なピースとして位置づけられる。
有名な演奏・録音
基準となる音源はBlue Note原盤『JuJu』のオリジナル・テイクで、後年はCDや配信、アナログ再発を通じて広く流通している。エンジニアによるリマスター盤でも本作の細やかなダイナミクスが再確認でき、各楽器の定位や残響の自然さが評価される。オフィシャルに名高い他アーティストの代表的録音については情報不明。
現代における評価と影響
『JuJu』はショーターのBlue Note期を代表する作品として高い評価を得ており、Mahjongもそのサウンド・パレットを語るうえで欠かせない一曲とされる。モーダルな設計と動機的発想の結合は、以後のショーター作品が示す作曲美学と通底し、テナー奏者のみならず作編曲志向の若手にも参照されている。教育現場やリスニング・ガイドにおいても、本曲は60年代中期ジャズの美学を理解する好例として挙げられることがある。
まとめ
Mahjongは、Blue Note期ショーターの作曲的核心—凝縮された主題、拡張可能なハーモニー、相互作用豊かなリズム—を体現する。『JuJu』の音像の中で際立つ本曲は、録音・演奏・作曲の三位一体がもたらす緊密さを示し、今日も色褪せない魅力を放つ。歌詞は存在せず、他媒体での使用や著名カバーの詳細は情報不明だが、オリジナル録音だけでも作品の価値は十分に伝わる。