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Bye Bye Blackbird verse付き

  • 作曲: HENDERSON RAY
#スタンダードジャズ
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Bye Bye Blackbird verse付き - 楽譜サンプル

Bye Bye Blackbird verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Bye Bye Blackbird」はRay Henderson作曲、Mort Dixon作詞による1926年発表の楽曲で、現在はジャズ・スタンダードとして広く演奏されます。ここで扱う“verse付き”は、コーラス(主部)の前に置かれる前口上的な短い導入部=ヴァースを含む形。多くの近代的演奏ではヴァースが省略されがちですが、原典に立ち返る歌手・編曲では採用されることもあります。形式は一般に32小節のAABA。歌ものとして知られますが、器楽でも定番です。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポはミディアム・スイングからバラードまで幅広く、歌唱ではヴァースを自由なテンポで語るように歌い、コーラスからスイングに入る流れが典型です。和声面ではI–vi–ii–Vなどの循環進行が多く、置き換え(サブスティテュート)や経過和音の工夫で色彩を加えやすい構造。器楽演奏ではAセクションのテーマを端正に示し、B(ブリッジ)で緊張感を高めるコントラストが効果的です。スキャットやリハーモナイズ、フェルマータを用いたエンディングなど、解釈の自由度も高い一曲です。

歴史的背景

本曲はティン・パン・アレー最盛期に出版され、同年中に複数の録音がヒットするなど、早くから広く支持を獲得しました。歌詞は、重荷や憂いから離れ、新たな場所へ向かう決意と希望を描く内容で、移動や別れを主題にした当時のポピュラー・ソングの潮流にも重なります。時代を経るなかで、ダンス・バンドからモダン・ジャズの文脈まで受容が進み、ヴァースは省略される慣習が定着しましたが、近年は原典志向の編曲やコンサートで復権する例も見られます。

有名な演奏・録音

初期の流行としては1926年のGene Austinによる録音が広く知られます。モダン・ジャズではMiles Davisが1956年録音(アルバム『’Round About Midnight』に収録)で印象的な解釈を示し、その後の器楽演奏の手本となりました。さらにKeith Jarrett Standards Trioは、Milesへの追悼色を帯びたアルバム『Bye Bye Blackbird』(1991録音)で取り上げ、タイトル曲として再注目させています。ほかにも多くの歌手・奏者がレパートリー化し、世代を超えて録音が続いています。

現代における評価と影響

本曲はジャム・セッションの常連曲で、旋律の明快さと和声の融通性から教育現場でも扱われます。歌手はヴァース有無やテンポ設計でドラマを作り、器楽陣はリズムの推進力とブリッジでの展開力が腕の見せ所。スウィングからハードバップ、ヴォーカル・ジャズまで横断的に機能するため、セットリストの要となることが多い楽曲です。近年は歴史的資料に基づく版や校訂譜も参照され、原型と創意の両立が志向されています。

まとめ

「Bye Bye Blackbird」は、親しみやすい旋律と柔軟な和声が演奏者の解釈を引き出す名曲です。ヴァース付きの形を知ることで物語性がいっそう際立ち、歌でも器楽でも表現の幅が広がります。時代を越えて愛される理由は、普遍的なテーマと多様な演奏に耐える強固な構造にあります。