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Bags And Trane

  • 作曲: JACKSON MILT
#スタンダードジャズ
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Bags And Trane - 楽譜サンプル

Bags And Trane|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Bags And Trane は、ヴィブラフォン奏者ミルト・ジャクソン(通称“Bags”)の作曲によるインストゥルメンタル。ジョン・コルトレーンとの双頭名義アルバム『Bags & Trane』(Atlantic)に収録され、1959年にニューヨークで録音、アルバムは1961年に発売された。編成はヴィブラフォン、テナー・サックス、ピアノ、ベース、ドラム。参加メンバーはミルト・ジャクソン、ジョン・コルトレーン、ハンク・ジョーンズ、ポール・チェンバース、コニー・ケイとされる。楽曲はブルースを基調とした小品で、テーマはシンプルなリフにより提示される。

音楽的特徴と演奏スタイル

ヘッドは短いフレーズの反復とブレイクを活かし、ヴィブラフォンとテナーのユニゾン/ハーモニーで力強く提示。アドリブでは、ジャクソンの温かいアタックと歌心のあるフレージング、コルトレーンの骨太で推進力のあるラインが対照を成す。ハンク・ジョーンズはしなやかなコンピングで隙間を作り、ポール・チェンバースの堅牢なウォーキングとコニー・ケイの繊細なライドがスウィングの地盤を整える。全体にハード・バップ期の語法が色濃いが、過度に速走せず、落ち着いたグルーヴ感が魅力。

歴史的背景

本作は、モダン・ジャズ・カルテットの要であったジャクソンと、アトランティック期のコルトレーンが正式に顔を合わせた意義深いセッションの核となる曲。ハード・バップの熱気と、MJQで培われた端正さが同居し、1959年前後のジャズの潮流を象徴する側面を持つ。アルバムは録音からやや遅れて1961年に発表され、両者のコラボレーションを代表する作品として認知を広げた。

有名な演奏・録音

決定的なテイクはアルバム『Bags & Trane』収録ヴァージョンで、各種リマスターやボックス・セットでも聴取可能。スタジオ録音ゆえに構成が明瞭で、各ソロのキャラクターが最も分かりやすく提示されている。他アーティストによる同曲の広範なカバー情報は情報不明だが、タイトル曲としてアルバムの象徴的存在となっている。

現代における評価と影響

ヴィブラフォンとテナー・サックスの二管編成による対話の妙、ブルースに根差した構造、そして両巨人の個性が交差する瞬間が、現在もコレクターや愛好家の注目を集める。アルバム全体の聴きどころとしてしばしば言及され、コルトレーンのアトランティック期、ジャクソンのバンド外での活動を俯瞰する手がかりを与える楽曲と言える。

まとめ

ブルースの枠組みを土台に、ミルト・ジャクソンの歌心とコルトレーンの推進力が結晶した端正なハード・バップ・チューン。録音・発売年や参加メンバーがはっきりしており、作品の輪郭が明快で入門にも適する。アルバム『Bags & Trane』の入口としてはもちろん、ヴィブラフォンとテナーの相性を知るうえでも必聴の一曲だ。