Airport Love Theme-Winds Of Change
- 作曲: NEWMAN ALFRED

Airport Love Theme-Winds Of Change - 楽譜サンプル
Airport Love Theme-Winds Of Change|作品の特徴と歴史
基本情報
“Airport Love Theme-Winds Of Change”は、作曲家Alfred Newmanが映画「Airport」(1970年公開)のために書いたラブテーマ。原曲はインストゥルメンタルとして発表され、のちに“Winds of Change”の題で歌詞付き版も流通したが、作詞者は情報不明。映画音楽でありながら独立した楽曲として広く親しまれ、多数の編曲・録音が存在する。タイトルが示すように、空港という出会いと別れの舞台で揺れ動く感情を象徴するテーマとして機能し、作品全体の印象を決定づける核となっている。
音楽的特徴と表現
ニューマンらしい豊麗なストリングスを中心に、木管とホルンが柔らかな和声を支え、流麗な旋律線が静かに高揚していく。半音階的な装飾やさりげない転調により、希望と不安、距離と親密さといった相反する感情の綾を描出。テンポは抒情的なバラードの歩速で、ソロの歌わせと合奏の厚みの対比が、親密さとスケール感を両立させる。ハープやピアノのアルペジオがテクスチャにきらめきを与え、余韻の長い終止がシーンの余情を豊かに残す。
歴史的背景
Alfred Newmanはハリウッド黄金期を代表する作曲家で、長年にわたり数多の映画音楽を手がけた。本作はそのキャリアの最晩年に位置づけられ、熟達したオーケストレーションと旋律美が結晶している。映画「Airport」は1970年代のディザスター映画潮流の嚆矢として知られ、群像劇の中で本テーマは観客の感情的導線を担う重要な役割を果たした。公開当時から、映画から切り離して単独で聴かれる“歌うメロディ”として評価が高かった。
使用された映画・舞台(該当時)
本曲は映画「Airport」における主要モチーフであり、登場人物の親密な対話や内省的な場面に繰り返し用いられている。劇中では編成やテンポ、ダイナミクスを変えたバリエーションとして提示され、緊張と安堵の対比を補強。空港という喧騒の中で浮かび上がる静謐な感情を、音によって可視化する設計が印象的である。
現代における評価と影響
今日でもコンサートのフィルム・ミュージック特集や録音で取り上げられ、イージーリスニングからジャズ寄りのアレンジまで幅広い再解釈が続く。歌詞付き版はポピュラーの文脈でも親しまれ、オーケストラ編成のみならず小編成でも映える旋律設計が再演性を高めている。映画音楽が持つ物語性と独立した楽曲性の両立例として、教育・研究面でも参照されることが多い。
まとめ
“Airport Love Theme-Winds Of Change”は、映画の枠を越えて愛されるロマンティックな主題である。端正なオーケストレーションと記憶に残る旋律が、空港という場に宿る出会いと別れの情感を普遍的な音楽へと昇華し、半世紀を経た今も色褪せない魅力を放ち続けている。
