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America

WEST SIDE STORY

  • 作曲: BERNSTEIN LEONARD
#洋楽ポップス#映画音楽
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America - 楽譜サンプル

America|歌詞の意味と歴史

基本情報

「America」はレナード・バーンスタイン作曲、スティーヴン・ソンドハイム作詞。1957年ブロードウェイ初演のミュージカル『ウェスト・サイド・ストーリー』の代表的ナンバーで、プエルトリコ系移民の若者たちが歌い踊るアンサンブルとして知られる。舞台上でのダイナミックなコーラスとダンスが魅力で、ショーチューンとして独立した人気も高い。以後のリバイバル公演や映画化で繰り返し取り上げられ、作品全体の世界観を象徴する楽曲となっている。

歌詞のテーマと意味

歌詞はアメリカへの憧れと現実のギャップを、皮肉とユーモアを交えた掛け合いで描く。機会や自由への期待と、差別・貧困・労働環境の厳しさが対置され、移民の複雑なアイデンティティが浮き彫りになる。肯定と否定のフレーズが交互に現れる対話的構造により、祝祭性とアイロニーが同時に成立。軽快なダンスの快感の背後に、社会的緊張を読み取らせる仕掛けが施されている。

歴史的背景

『ウェスト・サイド・ストーリー』はシェイクスピア『ロミオとジュリエット』を1950年代ニューヨークに置き換え、移民コミュニティと若者の対立を描いた。戦後の都市再開発と人口移動がもたらした摩擦が現実の課題となる中、本曲は、祝祭的なラテンの色彩を保ちながらも、移民として生きることの希望と困難を大衆芸術の文脈で可視化した。

有名な演奏・映画での使用

1961年の映画版では、リタ・モレノ(アニータ)とジョージ・チャキリスらによる活気あふれる群舞が象徴的場面となり、作品の知名度を世界的に押し上げた。2021年のスティーヴン・スピルバーグ版でも中心ナンバーとして再構成され、アリアナ・デボーズの演技が注目を集めた。録音ではバーンスタイン自身の指揮盤や各種ブロードウェイ・キャスト盤が定番として親しまれている。

現代における評価と影響

6/8と3/4が交替するヘミオラ、クラーベの感覚を伴うラテン系リズム、鋭い和声進行とシンコペーションが、ブロードウェイの音楽語法を更新した例として評価される。舞台・映画・コンサートでの再演が途切れず、移民や多様性を語る文脈でしばしば引用される文化的テキストでもある。音楽性と社会的メッセージ性の両立が、今日に至る普遍性を支えている。

まとめ

「America」は、ダンスの高揚感と社会風刺を一体化した画期的なショーチューンである。明暗の交替を音楽とテキスト双方で設計し、聴衆を快楽と省察の境界へ導く。初演から現在まで、舞台と映像の双方で更新され続ける生命力は、本曲が時代を映す鏡であり続けることを証している。