あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

An American In Paris

  • 作曲: GERSHWIN GEORGE,GERSHWIN IRA
#洋楽ポップス#クラシック
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

An American In Paris - 楽譜サンプル

An American In Paris|作品の特徴と歴史

基本情報

『An American in Paris』は、ジョージ・ガーシュウィンが1928年に発表した管弦楽の交響詩。パリの街を歩くアメリカ人の印象を描いた標題音楽で、クラシックの管弦楽法とジャズ語法を融合した代表作である。自動車のクラクション(タクシーホーン)を実音で用いるなど都市の喧騒を音響化した点でも知られる。原曲は器楽のみで構成され、歌詞や歌唱部分は存在しない。

音楽的特徴と表現

明快な主題動機が軽快なテンポで現れ、行進風のリズムやシンコペーションが街歩きの高揚を描く。中間部にはブルースを思わせる旋律が現れ、異郷で覚える郷愁や内省を表出。色彩感の豊かなオーケストレーション、木管の洒脱な対話、金管のファンファーレ、打楽器とホーンの効果音が層状に絡み、再現部で諸主題が活気を帯びて回帰する。形式は厳密なソナタではなく、情景描写を重視した自由なアーチ構造をとる。

歴史的背景

作曲者はパリ滞在で得た街の空気、ジャズ・クラブや大通りの喧噪を素材に構想を練った。初演は1928年、ニューヨークで行われ、当時から親しみやすさと斬新さを兼備した都会的サウンドとして注目を集めた。クラシックの枠組みにジャズの語彙を持ち込みながら、独自の管弦楽色を確立した点はガーシュウィンの芸術的転回点といえる。

使用された映画・舞台(該当時)

1951年のMGM映画『巴里のアメリカ人』(ジーン・ケリー主演、ヴィンセント・ミネリ監督)で、この交響詩は大規模なバレエ・シークエンスとして取り上げられ、作品名の知名度を世界的に押し上げた。舞台ミュージカル化の詳細な初演年は情報不明だが、後年のステージでも本作の音楽は重要な位置を占めている。なお、作詞家イラ・ガーシュウィンは映画で用いられた歌のクレジットに名を連ねるが、原曲自体に歌詞はない。

有名な演奏・録音

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団、アーサー・フィードラーとボストン・ポップスなどの録音が広く親しまれる。タクシーホーンの音高や配置は演奏団体により差異があり、解釈の妙が聴きどころとなる。コンサートでは『ラプソディ・イン・ブルー』と並べて取り上げられる機会も多い。

現代における評価と影響

交響楽とジャズの越境を象徴する20世紀音楽のアイコンとして、今日も世界のオーケストラの定番レパートリーに位置づく。都市のサウンドスケープを音楽的ドラマに昇華した手法は、映画音楽やミュージカル、現代のシンフォニック・ジャズにも影響を与え続けている。

まとめ

『An American in Paris』は、鮮烈な都市描写と親しみやすい旋律、そして大胆な音響イメージで聴き手をパリの街へ誘う。クラシックとジャズの橋渡しを成し遂げた金字塔として、今後も多彩な解釈で生命力を保ち続けるだろう。