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And This Is My Beloved

  • 作曲: BORODIN ALEKSANDRE PORFIREVICH
#洋楽ポップス
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And This Is My Beloved - 楽譜サンプル

And This Is My Beloved|歌詞の意味と歴史

基本情報

『And This Is My Beloved』は、1953年ブロードウェイ初演のミュージカル『キスメット』の楽曲。旋律はアレクサンドル・ボロディンの弦楽四重奏曲第2番 第3楽章「ノクターン」を下敷きに、作詞家ロバート・ライトとジョージ・フォレストが英語詞を与えた抒情的バラードである。舞台文脈での愛の高まりを描きつつ、クラシックの旋律美を保ったまま大衆性を獲得した点が特徴と言える。

歌詞のテーマと意味

歌詞は親密な愛の誓いと静かな陶酔を描く。夜想曲に由来する穏やかなフレーズと相まって、過度な劇性より内的な情熱を強調。自然や夜のイメージを用いた比喩が多く、ふたりの関係が深まる瞬間の時間感覚を、柔らかなカンタービレで表現している。舞台上では物語の流れと呼応し、登場人物の心情を透明に浮かび上がらせる役割を担う。

歴史的背景

『キスメット』は、ボロディンの既存楽曲に新詞を載せるという発想で構築された作品群から成る。その中核曲の一つが本曲で、他に「Stranger in Paradise」「Baubles, Bangles and Beads」などが並ぶ。クラシックの旋律美をブロードウェイ文法へ架橋した試みは、のちのクロスオーバー的アプローチにも示唆を与え、オーセンティックな作曲素材を舞台で生かす手法の先駆例として位置づけられる。

有名な演奏・映画での使用

舞台のオリジナル・キャスト録音に加え、1955年のMGM映画版『キスメット』でも印象的に用いられた。以後、多数のヴォーカリストやオーケストラが録音・演奏を行っており、リサイタルやショー・チューン集でも定番化。クラシック寄りのアレンジからポップス寄りの解釈まで幅広いバリエーションが存在する。個別の著名録音の詳細は情報不明。

現代における評価と影響

今日では、声楽・器楽の双方でアレンジが豊富に存在し、ピアノ伴奏版からフル・オーケストラまで幅広く上演可能。旋律線の滑らかさと和声の温かさが学習教材としても適し、コンサート・プログラムでの汎用性も高い。クラシックとミュージカルの接点を示すモデルケースとして、作編曲・演出の研究対象としても参照され続けている。

まとめ

ボロディンの「ノクターン」に新たな言葉とドラマを与えた本曲は、時代やジャンルを越えて愛されるラブ・バラード。作品の成立事情を知ることで旋律とテキストの結びつきがいっそう明瞭になり、その抒情性の説得力も増す。クラシックとブロードウェイの美点を兼ね備えた一曲として、今後も長く歌い継がれていく。