Angela (Theme From ‘Taxi')
- 作曲: JAMES BOB,JAMES ROBERT M

Angela (Theme From ‘Taxi') - 楽譜サンプル
Angela (Theme From ‘Taxi')|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Angela(Theme From 'Taxi')は、米TVシットコム『Taxi』のテーマ曲として知られるインストゥルメンタル。作曲はJAMES BOB, JAMES ROBERT M(Bob James)。1978年のアルバム『Touchdown』に収録され、エレクトリック・ピアノを中心にした穏やかなサウンドが特徴で、放映時から単独の楽曲としても親しまれてきた。テレビ音楽とフュージョンを橋渡しする代表的な一曲である。
音楽的特徴と演奏スタイル
ゆったりとしたテンポに、メランコリックで耳に残る旋律。柔らかなエレクトリック・ピアノのアルペジオと控えめなストリングス、タイトに刻むドラムと丸みのあるベースが織り成すレイドバックしたグルーヴは、ジャズ/フュージョンの文脈にありながら過度に技巧を見せず、情緒と空気感で聴かせる。和声は過度に複雑化せず、音色のテクスチャと間(ま)の扱いで印象を深める設計。音量を上げずとも空間に馴染む質感が魅力だ。
歴史的背景
1978年に放送開始した『Taxi』のメインテーマとして採用。タイトルはパイロット版に登場するキャラクター名に由来するとされ、都会の孤独や夜の移動を思わせる哀愁が、番組の雰囲気と見事に調和した。放送期間(1978〜1983)を通じて視聴者の記憶に定着し、開放感とほのかな寂寥を併せ持つ音像は、当時のテレビ音楽における新しい質感の提示として受け止められた。
有名な演奏・録音
定番の音源はBob James自身のスタジオ録音。以後、本人のコンサートでも頻繁に演奏され、サックスを主旋律に据えた編成やピアノ・トリオによるカバーなど、多様なアレンジが生まれた。主要なカバーアーティストの網羅的情報は情報不明だが、主題のシンプルさとテンポ設定により、ビッグバンドから小編成まで移植しやすく、テレビテーマを超えたレパートリーとして機能している。
現代における評価と影響
本作はテレビ主題歌の枠を超えたスムースなジャズ・インストとして、現在もストリーミングや動画配信を通じて聴かれ続けている。柔和で黄昏色のトーンは、チルアウト/リラクゼーション用途のプレイリストとも親和性が高く、BGMとしての有用性と、旋律をじっくり味わう鑑賞性を兼備する点が評価される。番組の象徴的楽曲であると同時に、ボブ・ジェームスの作編曲術を知る名刺代わりの一曲でもある。
まとめ
Angelaは、簡潔な素材から豊かな情緒を引き出す編曲とサウンドデザインが光る名曲。『Taxi』とともに生まれ、時代を超えて聴かれるインストゥルメンタルの理想形と言える。初めて聴くなら、冒頭のエレピの余韻と主題の入り方、リズム隊の控えめな推進力、そして終盤の静かな解放感に注目してほしい。テレビ音楽とジャズ/フュージョンの美点が結晶した一曲だ。
