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Birth Of The Blues

  • 作曲: HENDERSON RAY
#スタンダードジャズ
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Birth Of The Blues - 楽譜サンプル

Birth Of The Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Birth Of The Blues」はRay Henderson作曲、Buddy G. DeSylvaとLew Brownの作詞による楽曲。1926年のレヴュー「George White’s Scandals」で初めて世に出され、アメリカン・ソングブックを代表する一曲として定着しました。タイトルはブルース誕生を主題に掲げますが、曲そのものは12小節ブルースではなく、ショウ・チューンとしての洗練とジャズ的語法を併せ持つ作品です。のちに多くの歌手・ジャズ奏者に取り上げられ、ヴォーカル曲としても器楽曲としても広く演奏されています。

音楽的特徴と演奏スタイル

多くの版で32小節のAABA形式として扱われ、明快な歌メロとブルーノートを織り交ぜたフレーズが特徴です。ミディアム・スウィングでの解釈が一般的ながら、ショウ的なオープナーとしてアップテンポで華やかに展開する編曲もよく見られます。メロディはコール&レスポンス的構造を取り入れやすく、ブラスのリフ、サックス・セクションのハーモニー、ブレイクからの再現など、ビッグバンドにもコンボにも馴染みます。ヴォーカルでは語り口を活かすテンポ設定と、後半でのスキャットやアドリブ・タグが効果的とされます。

歴史的背景

本曲は作曲家Henderson、作詞家DeSylvaとBrownの黄金トリオによる1920年代ブロードウェイ系ヒットの一つで、いわゆる“ジャズ・エイジ”の熱気を背景に生まれました。ブルースの精神や黒人音楽の影響をショウ・ミュージックの文脈で表現した点が当時の流行と響き合い、ポピュラー音楽とジャズの接点を示す教材的作品としても参照されます。初演後まもなくダンス・バンドやラジオ番組に採り上げられ、標準曲(スタンダード)化していきました。

有名な演奏・録音

Bing Crosbyは映画「Birth of the Blues」(1941)関連の歌唱で知られ、同曲の普及に大きく寄与しました。Frank Sinatraもレパートリーに加え、ライヴでたびたび披露。Sammy Davis Jr.はショウマンシップあふれる解釈で決定版の一つとして評価されます。スウィング期のビッグバンドやトランペットの名手によるインストゥルメンタルも多く、華やかなブラス・アレンジから小編成のコンボ・スウィングまで幅広い録音が残されています。近年もヴォーカル、ビッグバンド、教育現場のアンサンブルで継続的に取り上げられています。

現代における評価と影響

本曲はブルース語法をポピュラー様式に翻訳した好例として、スタンダード研究やアレンジ学習の素材として重宝されています。ジャズ・クラブのステージではオープニングやアンコールに適し、聴衆に親しみやすい旋律と分かりやすい構成が魅力です。また、歌と管弦アレンジ双方が映えるため、ミュージカル系プログラムやビッグバンドのレパートリーでも生き続けています。ブルースそのものの形式を学ぶ入口というより、ブルースの語感をショウ・チューンに取り込む美学を体感できる楽曲と評価されています。

まとめ

「Birth Of The Blues」は、1926年生まれのショウ発スタンダードとして、歌心とジャズの語法を架橋する重要作です。AABA形式のわかりやすさ、ブルース的な表情、華やかな編曲適性により、時代を超えて演奏され続けてきました。名歌手による録音群から学ぶもよし、バンドでスウィング感とコール&レスポンスを磨くもよし。ポピュラーとジャズの交差点にあるこの曲は、今なおステージで映える汎用性と歴史的価値を兼ね備えています。