JOPLIN SCOTT
Breeze From Alabama, A
- 作曲: JOPLIN SCOTT

Breeze From Alabama, A - 楽譜サンプル
Breeze From Alabama, A|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Breeze From Alabama, A」は、ラグタイムの巨匠スコット・ジョプリンによるピアノ独奏曲。1902年に発表されたとされ、クラシック・ラグの語法を備える純粋なインストゥルメンタルで、歌詞は存在しません。演奏時間はおおむね数分規模で、家庭用ピアノやリサイタル、録音などで広く親しまれています。
音楽的特徴と演奏スタイル
特徴は、左手の規則的なオムパ型伴奏と、右手のシンコペーションが織りなす心地よい推進力。急がず品位を重んじるテンポ設定、明瞭なアーティキュレーション、控えめなペダリングが推奨されます。複数のストレインが並ぶ行進曲由来の構成を取り、旋律のコール&レスポンスや内声の装飾が歌心を引き立てます。
歴史的背景
20世紀初頭、米国中西部から南部にかけてラグタイムが大流行し、ジョプリンは作曲家として最盛期を迎えます。本作の題名は米アラバマ州への言及を含み、当時の地名や地域色をタイトルに冠する慣習を反映します。出版年は1902年とされ、作曲者の創作期の只中に位置づけられます。
有名な演奏・録音
本作単独の決定的録音・初演者などの具体情報は情報不明です。一方で、20世紀後半のラグタイム再評価以降、ジョプリン作品の全集やアンソロジーに収録される機会が増え、複数のピアニストによる解釈が流通。テンポ観や装飾の差異が聴きどころとなっています。
現代における評価と影響
今日、「Breeze From Alabama, A」は『メイプル・リーフ・ラグ』ほどの知名度こそないものの、端正な様式感と流麗な旋律で評価されるレパートリー。ラグタイムの教材、演奏会の小品、録音プロジェクトの一曲として取り上げられ、アメリカ音楽史におけるジョプリンの貢献を補完する重要作として位置づけられています。
まとめ
ラグタイムの核心であるシンコペーションと均整の美を体現する本作は、派手さよりも品位を重んじる味わいが魅力。信頼できる版に拠り、落ち着いたテンポで内声とフレージングを丁寧に描けば、タイトルどおりの“そよ風”のような軽やかさが自然と立ち上がるでしょう。
