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Caissons Go Rolling Along

  • 作曲: GRUBER EDMOND L
#トラディショナル#洋楽ポップス
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Caissons Go Rolling Along - 楽譜サンプル

Caissons Go Rolling Along|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Caissons Go Rolling Along」は、アメリカ陸軍の野砲隊にまつわる行進歌で、Edmund L. Gruber(表記:GRUBER EDMOND L)が1908年に作曲したとされる作品。軍楽・マーチに分類され、掛け声のように力強いコーラスと覚えやすい旋律が特徴。のちにジョン・フィリップ・スーザがこの主題を取り入れて「U.S. Field Artillery March」(1917)として編曲・拡張し、一般聴衆にも広く知られる契機となった。公式な歌詞の全文は複数版が存在し、細部は版によって異なるため、本稿では要点のみ概説する。

歌詞のテーマと意味

歌詞の核となるイメージは、砲弾を運ぶ台車“ケイソン(caisson)”が転がり進む情景。行軍や任務の過酷さを仲間意識と誇りで乗り越える、兵士の士気高揚を目的とした内容で構成される。掛け合いのリフレインが隊列の一体感を強調し、野外演奏や行進中でも合唱しやすいシンプルな言葉運びが採用されている。戦闘そのものの描写は抑制され、部隊の規律・連帯・前進の比喩が中心で、軍楽伝統の“励ましの歌”として機能する設計が明確だ。

歴史的背景

1908年に誕生したこの曲は、当時の米陸軍野砲隊の内部から生まれた実務的な行進歌として受容された。1917年にスーザが主題を用いた行進曲を発表したことで旋律が国民的に普及し、さらに1956年には同系統の旋律にもとづく「The Army Goes Rolling Along」が米陸軍の公式歌として制定され、後世には両者が混同されることもある。著作権や版の差異に関する詳細な経緯には複雑な側面があり、統一的な整理は情報不明の部分も残るが、旋律の源流としてGruberの貢献が広く認知されている点は確かである。

有名な演奏・映画での使用

米陸軍軍楽隊をはじめとする軍楽団・吹奏楽団の定番レパートリーとして、式典、卒業式、パレードなどで頻繁に演奏される。録音は軍楽隊や大学バンド、シンフォニック・バンドを中心に多数流通しており、行進曲アルバムや軍楽アンソロジーにしばしば収録される。具体的な映画での使用例については情報不明だが、軍を題材とする映像文脈での引用・参照は一般的で、行進や集合の情景を象徴する音楽として機能してきた。

現代における評価と影響

「Caissons Go Rolling Along」は、単なる野砲隊の歌に留まらず、米陸軍を象徴する旋律史の源泉として位置づけられる。教育・吹奏楽の現場では、マーチの基礎様式(明快な二部/四部形式、規則的アクセント、歌える旋律)を学ぶ教材としても重用。楽曲名と「The Army Goes Rolling Along」の混同が今なお見られる一方で、原曲の素朴で覚えやすい美点が再評価され、伝統曲としての生命力を保ち続けている。

まとめ

1908年に生まれた「Caissons Go Rolling Along」は、兵士の連帯と前進を歌う機能美に満ちた行進歌であり、スーザ編曲や陸軍公式歌への継承を通じてアメリカ軍楽の柱となった。歌詞は士気高揚と共同体意識を端的に示し、旋律は行進曲の典型を示す模範例。軍楽・吹奏楽の現場で演奏され続けることで、その歴史的意義と実用性は今も更新されている。