Heart Over Mind
- 作曲: TILLIS MEL

Heart Over Mind - 楽譜サンプル
Heart Over Mind|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Heart Over Mind」は、ソングライター兼歌手メル・ティリスが手がけたカントリー・ソング。一般にはレイ・プライスが1961年に録音したバージョンで広く知られ、その後ティリス自身も1970年にセルフカバーしている。発表レーベルやオリジナルの収録アルバム、使用キーなどの詳細は情報不明だが、作品は伝統的カントリーの語法に立脚する。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す通り、理性よりも心を優先してしまう葛藤が核となる。別れや裏切りを経験しながらも、理屈では止められない恋情に引き戻される語り手の心情が描かれる。過度な悲嘆に陥らず、毅然とした語り口で感情の弱さと強さを併置する点が魅力で、聴き手は揺れる心理のリアリティを共感的に受け止められる。
歴史的背景
1960年代初頭のナッシュビルでは、ホンキー・トンク由来のシャッフル感と洗練されたストリングス志向が共存していた。レイ・プライスの録音は、ビートを強調する“レイ・プライス・シャッフル”の典型で、フィドルやスティール・ギターの響きが歌の哀感を支える。ティリスはこの時期、数々の提供曲で存在感を高め、本作もその代表例となった。
有名な演奏・映画での使用
代表的な録音としては、レイ・プライス(1961)とメル・ティリス自身のセルフカバー(1970)が挙げられる。いずれもヴォーカルの節回しとリズムの推進力が相まって、楽曲の魅力を明瞭に伝える。ほかのカバーやライブ定番化についての網羅的な記録は情報不明。映画・ドラマ等での顕著な使用例も現時点では情報不明である。
現代における評価と影響
現在でもトラディショナル志向のカントリー歌手やバー・バンドのレパートリーとして取り上げられることが多く、ボーカルの表現力やフレージングを試す教材のように扱われることもある。理性と感情の対立という普遍的テーマは時代を超えて聴き手に届き、カントリーの物語性を学ぶ好例として評価が定着している。
まとめ
「Heart Over Mind」は、簡潔な言葉と堂々たるメロディで“心が理性を超える瞬間”を描いたカントリーの佳曲である。初期録音とセルフカバーを聴き比べると、編曲と歌い回しの違いから楽曲の多面性が浮かび上がる。入門者にはレイ・プライス版、作家性を味わいたい人にはティリス版の順で聴くことを推奨したい。
