あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

BILLY JOEL

Movin' Out (Anthonys Song)

  • 作曲: JOEL BILLY
#洋楽ポップス
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Movin' Out (Anthonys Song) - 楽譜サンプル

Movin' Out (Anthonys Song)|歌詞の意味と歴史

基本情報

正式表記は「Movin' Out (Anthony's Song)」。アメリカのシンガーソングライター、ビリー・ジョエルが1977年のアルバム『The Stranger』に収録した楽曲で、作曲・作詞ともに本人による。プロデュースはフィル・ラモーン。ピアノを核にギターやサックスが絡むタイトなポップ・ロックで、都会的なアレンジとコンパクトな構成が特徴だ。アルバムからの代表的シングルとして広く知られ、以後のコンサートでも定番曲として演奏され続けている。

歌詞のテーマと意味

物語の主人公アンソニーをはじめ、労働者階級の人物たちが登場し、出世や高級品といった“見栄”のために働き続ける生き方を冷静に見直す視点が描かれる。警官が副業に精を出したり、家族の期待に縛られる若者など、具体的なキャラクターを通して、消費主義とアメリカン・ドリームの影の側面を浮かび上がらせる。歌の語り手は、地位や物に価値を置く生き方から距離を取り、自分の幸福の基準を見つめ直す決意を示す。辛辣さとユーモアが共存する語り口が、メッセージを押し付けずに胸へ届く。

歴史的背景

1970年代後半のニューヨーク周辺の生活実感が下敷きにあり、エスニック・コミュニティの空気感や地域色が細部に息づく。『The Stranger』期は、ジョエルが物語性の強い作風を確立し、日常の断片から普遍的テーマへ到達する筆致を磨いた時期でもある。名プロデューサー、フィル・ラモーンの的確な音作りにより、リズムの切れ味と語りの明瞭さが両立し、アルバム全体の統一感の中で本曲の存在感が際立つことになった。

有名な演奏・映画での使用

ビリー・ジョエルのコンサートでは長年にわたり重要なレパートリーとして演奏され、ベスト盤にも収録されている。ブロードウェイ・ミュージカル『Movin' Out』(2002年、振付トワイラ・サープ)の核となる楽曲のひとつとして再解釈され、ダンスと物語によって新たな生命を得た。映画での顕著な使用については情報不明。

現代における評価と影響

過剰な同調圧力や消費志向への違和感は時代を越えて共有されやすく、リリースから年月を経ても歌詞の射程は鈍らない。鋭い社会観察を、覚えやすいメロディと躍動的なビートに落とし込む手腕は、ポップ・ロックにおけるストーリーテリングの模範とされる。配信時代でも再発見が進み、若いリスナーにも“自分らしい生き方を選ぶ”というメッセージが届いている。

まとめ

「Movin' Out(Anthony's Song)」は、都会の労働者階級のリアルを映し出しつつ、幸福の基準を問い直す視座を提示する楽曲である。鋭さと親しみやすさを両立した作曲と、簡潔にして印象的な物語構成が魅力。ビリー・ジョエルの代表作として、過去と現在、そして次世代をつなぐ普遍性を保ち続けている。