Cold, Cold Heart

#洋楽ポップス

Cold, Cold Heart - 楽譜サンプル

ハンク・ウィリアムズが作詞作曲したカントリー・バラード。1951年に発表され、彼の代表曲として広く親しまれる。ホンキートンクの語法を基盤に、スティール・ギターとピアノが切ない旋律を支える。初出レーベルは情報不明、収録アルバムの初出形態も情報不明。

歌詞は、愛する相手が過去の傷で心を閉ざしているため、語り手の誠実な愛が届かない苦悩を描く。誤解を解きたい願い、嫉妬や疑念から解放してほしい嘆願、そして癒やしへの希求が核。直接的な言い回しと平明な語彙で、普遍的な失恋の痛みを伝える。

戦後アメリカの酒場文化で育ったホンキートンクの美学を体現。素朴な語り口と都会的なアレンジの折衷は、カントリーが主流ポップ市場へ浸透する潮流を後押しした。1951年のシングルとして人気を博し、ウィリアムズの作家性を決定づけた重要作となった。

原曲はハンク本人の録音が定番だが、1951年のトニー・ベネット版がポップ界で大ヒットし、同曲を国民的スタンダードへ押し上げた。その後もノラ・ジョーンズなど多様な歌手が取り上げ、解釈の幅を広げている。特定の映画での象徴的使用は情報不明。

本作はカントリーとポップの越境例として音楽史でしばしば言及され、シンガーが感情表現を磨く教材曲としても重用される。今日でもラジオ、配信、ライヴの定番で、シンプルな和声進行が世代やジャンルをまたぐカバーを促している。受容は安定して高い。

冷たく閉ざされた心と向き合う誠実な語り、哀感あるメロディ、そして時代を越える歌唱解釈の余地が、名曲としての寿命を支える。入門者は原曲とトニー・ベネット版を聴き比べ、言葉の運びとテンポ感の違いを確認すると理解が深まるだろう。