Drink With Me
レ・ミゼラブル
- 作曲: SCHONBERG CLAUDE MICHEL

Drink With Me - 楽譜サンプル
Drink With Me|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Drink With Me」は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』に登場するアンサンブル曲。作曲はClaude-Michel Schönberg、英語詞はHerbert Kretzmer(仏語原詞はAlain BoublilとJean-Marc Natel)。物語の後半、バリケードで戦いを前にした学生たちが、仲間や過ぎ去った日々に杯を掲げる場面で歌われる。派手さを抑えた静謐なコーラスが、登場人物それぞれの胸中を浮かび上がらせる。
歌詞のテーマと意味
テーマは連帯と記憶、そして死の予感である。仲間に向けた敬意と別れの覚悟が簡潔な言葉で重ねられ、若者の理想と不安が交錯する。中盤では個々の独白が差し込み、愛や後悔といった私的感情が共同体の歌に溶け合う構図が示される。高揚よりも内省に軸を置くため、前後の勇ましい曲とのコントラストが際立つ。
歴史的背景
作品全体はヴィクトル・ユゴー原作小説(1862)を基に、1832年パリの六月暴動を題材とする。1980年の仏語コンセプト盤を経て、1985年ロンドン初演、続いてブロードウェイへ拡大した中で本曲も定着した。革命の理想を歌い上げる大合唱の直後に置かれた小編成の哀歌として、ドラマの呼吸を整える役割を担う。
有名な演奏・映画での使用
主要なキャスト録音(ロンドン初演盤、ブロードウェイ盤、10周年・25周年記念コンサートなど)で親しまれ、映画『レ・ミゼラブル』(2012)でも重要場面として歌われた。舞台ではグループの重唱とソロが交互に現れ、演出ごとに人数や和声バランスが微妙に異なる。録音では場面の静けさを活かしたダイナミクスが鍵となる。
現代における評価と影響
華やかな見せ場ではないが、物語の人間的側面を凝縮する楽曲として評価が高い。合唱とソロの受け渡しが明快なため、学校やアマチュア団体の上演でも取り上げられやすい。またコンサートでは、複数の声部を持つアレンジ素材として再構成され、友情や追悼の場面歌として独立して演奏される例も多い。
まとめ
「Drink With Me」は、革命の熱狂に陰影を与える静かな杯の歌である。簡潔な旋律と重唱の積み重ねが、登場人物の勇気と脆さを同時に描き出す。『レ・ミゼラブル』を理解するうえで欠かせない一曲として、舞台・録音・映画のいずれでも存在感を放ち続けている。