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Ebony And Ivory

  • 作曲: MCCARTNEY PAUL JAMES
#洋楽ポップス
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Ebony And Ivory - 楽譜サンプル

Ebony And Ivory|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Ebony And Ivory」は、ポール・マッカートニーが作曲・作詞し、1982年に発表されたポップ・ソング。アルバム『Tug of War』からのシングルで、スティーヴィー・ワンダーとのデュエット版が公式な代表録音として知られる。プロデュースはジョージ・マーティン。リリース当時、全米Billboard Hot 100および英国シングル・チャートで首位を獲得し、80年代初頭を代表する国際的ヒットとなった。温かなピアノとシンセを核にしたミディアム・テンポのアレンジ、二人のヴォーカルが交互に絡む構成が特徴で、メロディは覚えやすくコーラスも印象的である。

歌詞のテーマと意味

タイトルにある“黒鍵(Ebony)と白鍵(Ivory)”は、同じ鍵盤上で響き合う関係の比喩。異なる要素が共存し、協調によって調和が生まれるという普遍的メッセージを示す。デュエットという形式自体が、対話と歩み寄りを音楽的に体現しており、相互理解と尊重の重要性をやさしく訴える。直接的なスローガンではなく、身近な楽器を題材にすることで、世代や国境を越えて受け止めやすい表現になっている点が本作の強み。シンプルで反復の多い歌詞は、社会的メッセージをポップの枠組みで浸透させるための効果的な手法といえる。

歴史的背景

80年代初頭は、公民権運動の時代を経てもなお人種や社会の分断が語られ続けた時期。マッカートニーはビートルズ解散後の成熟期に入り、名プロデューサーのジョージ・マーティンと再タッグ。スティーヴィー・ワンダーというソウル/R&Bの巨匠との協業は、ポップとブラック・ミュージックの橋渡しとして象徴的だった。テレビとミュージックビデオの影響力が増す中、印象的な映像と平明なメッセージは世界規模のヒットにつながり、楽曲はその時代の空気を反映する“調和”のアンセムとして受容された。

有名な演奏・映画での使用

最も広く知られるのは、マッカートニーとワンダーのオリジナル・デュエット録音で、アルバム『Tug of War』期の公式映像もよく参照される。以後、様々なアーティストによるカバーやテレビでの歌唱が行われ、合唱やイベントで取り上げられる機会も多いが、網羅的な一覧は情報不明。特定の映画での象徴的な使用についても情報不明。いずれにせよ、スタジオ音源の完成度が高く、オリジナル版が決定的なリファレンスとして位置づけられている。

現代における評価と影響

本曲は、ポップ・ソングが社会的テーマを扱う成功例としてしばしば引用される。一方で、メッセージの単純さを指摘する批評も存在するが、その平易さこそが公共空間や多様な場面で受容される強みでもある。配信時代でもプレイリストやラジオで継続的に聴かれ、教育現場やコミュニティでの“共生”の話題とともに参照されることが多い。結果として、1982年のヒット曲にとどまらず、世代横断的に歌い継がれるスタンダード的な位置を確立している。

まとめ

「Ebony And Ivory」は、黒鍵と白鍵という音楽的モチーフを通じて、共生と調和をシンプルに届けた名曲である。デュエットの対話性、洗練されたプロダクション、国際的ヒットという実績が相まって、発表から年月を経てもメッセージの鮮度を失わない。社会的関心とポップの親しみやすさを両立させた代表例として、今なお重要な参照点であり続けている。