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Eclypso

  • 作曲: FLANAGAN TOMMY L
#ラテン
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Eclypso - 楽譜サンプル

Eclypso|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Eclypsoは、ジャズ・ピアニストのトミー・フラナガンが作曲した器楽曲。歌詞は存在せず、ピアノ・トリオを中心に演奏されることが多い。タイトルの響きから連想されるとおり、カリブ音楽の語法を取り入れた演奏が定着している。端正なタッチで知られるフラナガンの作曲らしく、シンプルな素材を洗練されたバランスでまとめ上げたナンバーである。

音楽的特徴と演奏スタイル

多くの演奏でカリプソ由来のストレート・エイトと軽快なシンコペーションが用いられ、スウィングとは異なる跳ねすぎないグルーヴが鍵となる。メロディはオフビートのアクセントが印象的で、ソロはモチーフの反復とリズムのズラしで展開すると効果的。ピアノは左手でシンプルなパルスを保ち、ベースとドラムの細やかな交差を活かすと良い。コード・ヴォイシングはクリアな三和音中心でも十分に機能し、ダイナミクスのコントロールが表情を決める。

歴史的背景

フラナガンはビバップ以降のメインストリームを代表する名手で、クールなタッチと端正な語り口で知られる。Eclypsoは彼のレパートリーの中でも長く演奏され、作品集の中でタイトル曲として扱われるなど、作曲家フラナガンの個性を示すナンバーとして位置づけられている。複雑なハーモニーに依存せず、リズム設計で音楽を立ち上げるという彼の美学を体現した一曲である。

有名な演奏・録音

基準となるのはフラナガン自身の録音で、ピアノ・トリオ編成によるスタジオ版とライヴ版が複数確認できる。テンポやフィーリングの差異が学習素材として有用で、イントロの作り方やエンディングの処理など、細部の工夫が各バージョンの聴きどころとなる。ピアノ・トリオのみならず、サックスを加えた小編成でも映え、他アーティストのカバーも少なくない。

現代における評価と影響

ジャズ・クラブやセッションでも取り上げやすい構成と親しみやすいグルーヴにより、教育現場やワークショップでリズム感養成の教材として扱われることもある。カリプソ・フィールを保ちながら即興を展開する実践例として、ドラマーとベーシストの相互作用を学ぶ手本となり、ピアニストにとっては“引き算”の美学を体得する格好の題材だ。

まとめ

Eclypsoは、洗練されたピアノ・ライティングとカリプソ・フィールが融合した小粋な一曲。フレーズのシンプルさを武器に、リズム処理とダイナミクスで差が出る。フラナガンの感性を知る入口としても、セットのアクセントとしても有効なレパートリーであり、時代を超えて演奏され続ける理由がここにある。