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Funny How Time Slips Away

  • 作曲: NELSON WILLIE
#洋楽ポップス
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Funny How Time Slips Away - 楽譜サンプル

Funny How Time Slips Away|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Funny How Time Slips Away」は、作曲・作詞ともにWillie Nelson(表記: NELSON WILLIE)による楽曲。初出は1961年、Billy Walkerの録音で世に広まり、カントリーの枠を超えて多くの歌手に歌い継がれてきたバラードである。ゆったりとしたミディアム〜スローのテンポに乗せ、語りかけるような旋律と簡潔な和声進行が歌詞の情感を引き立てるのが特徴。のちにNelson自身もセルフカバーを重ね、レパートリーとして定着させた。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、久しぶりに再会した元恋人へ向けた親しげな会話調で始まる。表向きは軽やかな挨拶だが、時間の流れの皮肉さを示すフレーズが何度も登場し、隠しきれない未練や痛みがにじむ。過去の約束や別れを遠回しに想起させ、強がりと本音の揺らぎを繊細に描写。反復されるタイトル句がモチーフとして機能し、言外の感情を浮かび上がらせる。直接的な断罪や嘆きではなく、余白ある語りが聴き手に想像の余地を与える点が長く愛される理由だ。

歴史的背景

1960年代初頭、Nelsonはナッシュビルでソングライターとして頭角を現し、「Crazy」や「Hello Walls」と並ぶ代表曲として本作を書き上げた。提供曲が先にヒットし、本人が後年セルフカバーで定着させるという当時の彼の歩みを象徴する一曲である。また本作はカントリーのみならずR&Bやソウルの文脈にも広がり、異なるジャンルの歌手が取り上げたことで“歌のスタンダード”としての地位を強化していった。

有名な演奏・映画での使用

初期の代表的録音としてはBilly Walker(1961)が挙げられる。続いてR&BシーンではJoe Hinton(1964)がヒットを記録し、同曲がジャンルを越えて受容されたことを示した。ソウルではAl Greenがアルバム「Call Me」(1973)でしなやかな名唱を残している。作曲者のWillie Nelson自身も複数回セルフカバーを行い、デュエット版など多彩な解釈を提示した。映画での顕著な使用については情報不明。

現代における評価と影響

本作はカントリーを母体としながらも、語り口とメロディの普遍性によってポップス、ソウル、アメリカーナまで横断的に歌い継がれている。シンプルな構成ゆえ、歌手のフレージングやダイナミクスの妙が前面に出やすく、表現力の試金石としてライブやセッションで定番化。時間の経過と人の感情という普遍テーマが、時代やジャンルを超えてリスナーの共感を呼び続けている。

まとめ

「Funny How Time Slips Away」は、Willie Nelsonの筆致が光る語り口のバラードであり、カントリー発の“歌のスタンダード”として多くの名演を生んだ。時間の残酷さと優しさを併せ持つテーマ、簡潔で余白のあるメロディが、聴く時代や歌い手によって新たな意味を帯び続ける。映画での使用は情報不明だが、録音史とカバーの蓄積だけで、楽曲の普遍性は十分に証明されている。