Live To Tell
- 作曲: CICCONE MADONNA L,MADONNA,LEONARD PATRICK RAYMOND

Live To Tell - 楽譜サンプル
Live To Tell|歌詞の意味と歴史
基本情報
1986年に発表されたMadonnaの「Live To Tell」は、Patrick LeonardとMadonnaの共作によるポップ・バラード。プロデュースは両名。映画「At Close Range」(1986)のメインテーマとして書かれ、同年のアルバム『True Blue』にも収録された。静謐なシンセと余韻のあるリズムを軸に、ヴォーカルのダイナミクスで緊張感を構築する。シングルは米国Billboard Hot 100で1位を獲得し、国際的にもトップ10入りを果たすなど商業的成功を収めた。レーベルはSire Records(Warner系)。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、語り手が「真実を語る」べき時を見極め、秘密や裏切り、信頼の揺らぎと向き合う姿を描く。直接的な固有名詞や物語の詳細は避けつつ、孤独と決意をにじませる表現が多用され、聴き手に解釈の余地を残す。映画の犯罪劇的な空気と呼応しつつも、個人的なサバイバルと内省を主題に据える点が特徴。特定のモデルとなった出来事は情報不明。
歴史的背景
本作は、ダンス志向のヒットを連発していたMadonnaが、内省的でドラマ性の高い作風へと表現領域を広げた節目の一曲。Leonardが提示したデモにMadonnaがメロディと詞を発展させた経緯が知られる。ミュージック・ビデオは映画映像を織り交ぜた構成で、作品世界の緊張感を視覚的にも補強した。1986年というMTV全盛期に、成熟したバラードで頂点を獲ること自体が、彼女の表現力の幅を証明したと言える。
有名な演奏・映画での使用
「At Close Range」で要所に流れ、物語の宿命性を強調する役割を担った。ライヴでは1987年のWho's That Girl Tourで披露。2006年のConfessions Tourでは、十字架を模した舞台装置とともに歌う演出が話題と論争を呼んだ。音源は後年、バラード集『Something to Remember』(1995)にも収録され、代表的スロー・ナンバーとして位置づけられている。
現代における評価と影響
透徹したメロディと抑制されたサウンド・デザインは、以降のポップ・バラード制作における「静けさで物語る」アプローチの手本とされることが多い。批評面でも、Madonnaの歌唱と楽曲構成の成熟を示した作品として繰り返し言及される。カバーや二次使用の網羅的な記録は情報不明だが、音楽史的には彼女の表現転換点を示す重要作として評価が定着している。
まとめ
「Live To Tell」は、映画音楽の文脈とポップ・バラードを架橋し、個人的な告白とサスペンス的緊張を両立させた名曲である。華やかなダンス・トラックの陰で、内省と克服を主題化した本作は、1986年の頂点を象徴すると同時に、今日も色褪せない普遍性を備えている。