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First Trip
- 作曲: CARTER RONALD L SR

First Trip - 楽譜サンプル
First Trip|楽曲の特徴と歴史
基本情報
First Tripは、ベーシスト/作曲家Ron Carter(表記:CARTER RONALD L SR)によるインストゥルメンタルのジャズ楽曲。1968年にハービー・ハンコックのアルバム『Speak Like a Child』に収録され広く知られるようになった。歌詞は存在せず作詞者は情報不明。小編成でも映える明快な主題と柔軟な和声進行を備え、アドリブの余地が大きいことから、演奏現場での自由度が高いナンバーとして位置づけられている。
音楽的特徴と演奏スタイル
端的で覚えやすいテーマに対し、リズム・セクションが推進力を与える設計が特徴。ミディアム・テンポのスウィングで取り上げられることが多く、ウォーキング・ベースとシンコペーションの対話が映える。『Speak Like a Child』のヴァージョンでは、フリューゲルホルン、バストロンボーン、アルトフルートという独自の3管がメロディを柔らかく彩り、ピアノ・トリオに管のハーモニーが加わることで、シンプルな主題がリリカルに拡張されている。ソロ回しはテーマ—ソロ—テーマの標準的フォームで運用されることが多い。
歴史的背景
1960年代後半、ポスト・バップ以降の語法が深化するなか、Ron Carterはマイルス・デイヴィスのクインテットで活動し、作曲面でも存在感を高めていた。First Tripは、その文脈で生まれたモダン・ジャズの小品で、当時のブルーノート周辺で進んだ洗練されたアンサンブル志向と、シンプルな旋律美の両立を体現している。ハービー・ハンコックのアルバムに収められたことにより、作編曲と演奏の折衷美が多くのリスナーに届いた。
有名な演奏・録音
代表的な音源は、ハービー・ハンコック『Speak Like a Child』(1968年)収録のテイク。ピアノ、ベース、ドラムに3管を加えた独自のサウンドが楽曲の魅力を引き出す。Ron Carter自身による再演も複数確認されるが、網羅的なディスコグラフィおよび各録音年の詳細は情報不明。他にもコンボ編成で取り上げられる例があるが、個別の著名盤の一覧は情報不明である。
現代における評価と影響
First Tripは、簡潔なテーマと扱いやすいフォームにより、アンサンブルづくりやインタラクションの妙を学ぶのに適した楽曲として、演奏家から継続的な支持を受けている。特にベース主導の推進力や、主題の余白を活かしたフレージング設計は、今日の小編成ジャズにおいても有効で、ライブやセッションで取り上げられる場面が見られる。録音や出版に関する包括的な資料は情報不明だが、実演を通じて評価が更新され続けている。
まとめ
Ron Carter作のFirst Tripは、1968年の録音を契機に広まったモダン・ジャズの佳曲である。覚えやすいメロディ、柔軟なハーモニー、リズム・セクションの推進力が一体となり、編成や解釈に応じて表情を変える普遍性を備える。詳細データに情報不明の点は残るものの、演奏現場で息の長い支持を集める理由は、その実用性と音楽的懐の深さにあると言える。