Modern Love
- 作曲: JONES DAVID ROBERT,BOWIE DAVID

Modern Love - 楽譜サンプル
Modern Love|歌詞の意味と歴史
基本情報
Modern Love は、デヴィッド・ボウイが1983年に発表した楽曲で、アルバム「Let’s Dance」に収録。クレジットは JONES DAVID ROBERT,BOWIE DAVID。プロデュースはナイル・ロジャース、レーベルはEMI America。ダンサブルなサウンドと力強いボーカル、印象的なホーン・アレンジで、80年代のボウイを象徴する一曲として広く知られる。シングルとしてもリリースされ、世界的に高い認知を獲得した(細かなチャート順位は情報不明)。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、現代的な恋愛観と信仰・社会制度への距離感をめぐる緊張を描く。欲望や親密さに惹かれつつ、権威や確信を盲信しない自己意識が通底しており、希望と懐疑がせめぎ合う。コール&レスポンス的な構成や、力強いリフレインは“踊ること”を生の肯定として提示し、虚無感を押し返す推進力を与える。ボウイは、煌びやかなポップの外観の下に、個人が抱える不安や揺らぎを重ね合わせ、現代における“愛”の多義性を鮮やかに浮かび上がらせている。
歴史的背景
ベルリン時代を経てアート志向を極めたボウイは、80年代初頭に大衆性へと舵を切る。ナイル・ロジャースのプロデュースによる「Let’s Dance」はその転換点で、Modern Loveは同路線を象徴。ファンクやR&Bのグルーヴ、新しい波の洗練、ラジオ映えするポップ感覚が融合し、MTV時代のメインストリームと強固に接続した。結果として、彼のキャリアにおける最も開放的でアクセスしやすいフェーズを代表する楽曲の一つとなった。
有名な演奏・映画での使用
本曲はライブの定番曲として、1983年のSerious Moonlight Tourなどで頻繁に演奏されたことが知られる。映像作品では、レオス・カラックス監督「汚れた血(Mauvais Sang)」における印象的な疾走シーンでの使用が有名で、のちにノア・バームバック監督「フランシス・ハ」にも引用的に登場。軽やかな疾走感と昂揚を生むビートが、映像のリズムを強く牽引し、楽曲のイメージを世代横断的に更新した。
現代における評価と影響
Modern Loveは、80年代ポップの金字塔としてストリーミング時代にも高い再生を保ち、プレイリストやDJセットの定番となっている。映画やドラマでの再使用により、若年層にも浸透。ホーンを軸にした明快なフック、ゴスペル的高揚感、ダンス・ロックの推進力は、後続のポップ/インディ・ロックにおける“祝祭と懐疑の共存”という美学にも影響を及ぼしていると評される。
まとめ
Modern Loveは、体を駆り立てるダンス性と、内省的なテーマが同居する稀有な名曲である。華やかなサウンドの背後に、現代的な愛の不安と希望が織り込まれ、時代を超えて共感を呼ぶ。ボウイの多面的な魅力と、ナイル・ロジャースの洗練されたプロダクションが結晶した本曲は、初めてボウイに触れる人にも、深く味わいたいリスナーにも推薦できる必聴の一曲だ。