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Mull Of Kintyre

  • 作曲: MCCARTNEY PAUL JAMES,LAINE DENNY
#ビートルズ#洋楽ポップス
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Mull Of Kintyre - 楽譜サンプル

Mull Of Kintyre|歌詞の意味と歴史

基本情報

ポール・マッカートニーとデニー・レインが共作し、Wingsが1977年に発表したシングル。スコットランドのキャンベルタウン・パイプ・バンドを迎え、アコースティックギターとバグパイプが溶け合う温かなバラード。当初はアルバム非収録の単発シングルで、B面は「Girls’ School」。シンプルな構成ながら雄大なスケール感を持つ、Wingsの代表的ナンバーのひとつ。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、マッカートニーが長年親しんだスコットランド・キンタイア半島への愛着をまっすぐに歌う。故郷の風景と共同体への敬意、帰属意識、郷愁が核で、素朴なメロディと合唱しやすいリフレインが優しく包み込む。祝祭的なコーラスは、土地の誇りを分かち合う賛歌として機能し、個人的な感情を普遍的な“ふるさと”の物語へと昇華している。

歴史的背景

制作の背景には、マッカートニーがスコットランドに構えた生活拠点と地域との交流がある。現地のパイプ・バンドを起用したのは、伝統文化への敬意と、曲の主題である土地讃歌を音色で体現するため。1977年という、パンク隆盛の最中でも国民的な支持を得た点は特筆で、世代を超えて口ずさめる旋律とコーラスが、社会の空気を横断する普遍性を示した。

有名な演奏・映画での使用

代表的な演奏として、Wingsおよびマッカートニーの公演で地元のパイプ・バンドを招く形で披露されることがある。スコットランドの式典やスポーツ会場でもしばしば演奏され、世界各地のパイプ・バンドの定番レパートリーとなった。合唱を誘う構成は地域イベントに適しており、カバーやアレンジも多い。映画での顕著な使用は情報不明。

現代における評価と影響

この曲は英国で1977年のクリスマス・ナンバーワンを獲得し、当時の国内シングル売上記録を更新、200万枚超を達成したことで知られる。ポップとトラディショナルの融合が成功例として語られ、のちのアーティストが地域性や伝統音楽をポップ文脈に取り込む際の参照点となっている。米国でのヒットは限定的だったが、英連邦圏を中心に長年愛唱される“現代の民謡”的存在へと定着した。

まとめ

穏やかな旋律と雄大なバグパイプの対比で、土地への愛情を普遍的なメッセージへ昇華させた名曲。華美な技巧に頼らず、共同体の記憶と誇りを音で描き切った点が、今日まで支持される最大の理由だ。気取らない言葉と力強い合唱が、時代と国境を越えて響き続ける。