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Blue Seven

  • 作曲: ROLLINS SONNY
#スタンダードジャズ
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Blue Seven - 楽譜サンプル

Blue Seven|楽曲の特徴と歴史

基本情報

ソニー・ロリンズ作曲のBlue Sevenは、1956年発表のアルバムSaxophone Colossusに収録された代表曲。歌詞はなく、一般にB♭の12小節ブルースとして演奏される。主題はシンプルなリフに近く、長尺の即興が楽曲の核を成す。初演時の編成はテナーサックス、ピアノ、ベース、ドラムのカルテットで、ロリンズの創造性を余白の多い設計で引き出している。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特色は、短い動機を発展させてコーラス全体を統合する“主題的即興”。ロリンズは音価や休符の配置、リズムのずらしでモチーフを変形し、ブルース進行上に強固な物語性を生む。ピアノはコンピングを間引き、ベースは堅実なウォーキングで推進力を担い、ドラムはダイナミクスの対話で緊張と解放を作る。ミニマルな素材から豊かな起伏を導く点が、演者にも聴き手にも強い印象を残す。

歴史的背景

録音はニュージャージー州ハッケンサックのルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ。1950年代中期、ハードバップの成熟期に生まれた。共演はトミー・フラナガン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、マックス・ローチ(ds)。このトラックはロリンズの即興概念を決定づけ、アルバム全体の評価を押し上げる一方、ブルース・フォームに新たな思考法を持ち込んだ例としても注目される。

有名な演奏・録音

最初期かつ基準となる録音はSaxophone Colossus版。以降、ロリンズ自身がステージで繰り返し取り上げ、テンポや尺、構成に自在な変化を加えた。学術的にも注目され、1958年にはガンサー・シュラーが「主題的即興」の典型として詳細分析を発表し、研究・教育現場での定着を後押しした。教材やトランスクリプションの題材として今日も参照頻度が高い。

現代における評価と影響

Blue Sevenは、単純な素材から高密度の物語を紡ぐ即興の手本として現在も参照される。ジャム・セッションやレッスンで課題曲に選ばれることが多く、モチーフの扱い方、スペースの使い方、ブルース語彙の更新方法を学ぶ格好の教材となっている。配信時代でも定番トラックとして聴かれ、分析記事や動画解説の題材としても継続的に取り上げられている。

まとめ

ブルース進行を土台に、モチーフ操作で構築美を示したBlue Sevenは、形式と創造性の均衡を体現するジャズの金字塔。初出録音の説得力と理論的関心の両輪に支えられ、今なお演奏・研究双方で価値を持ち続ける。入門にも分析にも耐える、ソニー・ロリンズ屈指の重要作だ。