I Love To Cry At Weddings
- 作曲: COLEMAN CY

I Love To Cry At Weddings - 楽譜サンプル
I Love To Cry At Weddings|歌詞の意味と歴史
基本情報
I Love To Cry At Weddingsは、作曲家Cy Coleman(表記:COLEMAN CY)によるミュージカル・ナンバー。作詞はDorothy Fields。1966年初演のブロードウェイ・ミュージカル『Sweet Charity』の一曲として知られ、都会的な感性と洒脱なジャズ・ポップ語法を持つコールマン=フィールズ黄金コンビの作風が反映されている。作品はボブ・フォッシーの演出・振付で評価を得ており、本曲もその文脈で聴かれることが多い。単体のポップ曲としても親しまれるが、基本的には劇中歌として位置づけられる。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す通り「結婚式で泣くのが好き」という逆説的な表現を軸に、祝祭の場でこみ上げる感情や、人々が共有する涙のカタルシスをユーモラスに描く。皮肉と愛情が同居するフィールズの語り口が際立ち、軽妙なリズムに乗せて“泣く”ことの解放や連帯感を肯定的に捉える点が魅力。劇中ではシーン転換の潤滑剤、あるいは群像の心情をまとめ上げる役割を担い、明るさの裏に人間味を宿すコールマンのメロディが、コミカルさと温かさのバランスを保っている。
歴史的背景
1960年代のブロードウェイは、ジャズやポップの要素を柔軟に取り込み、都会生活の機微を描く作風が主流化。本曲を含む『Sweet Charity』は、その潮流の中で音楽的洗練とダンスの革新性を両立させた代表作のひとつとなった。コールマンはキャバレー/ジャズの語彙を劇中歌に落とし込み、フィールズは平易な言葉で気の利いた比喩を紡ぐことで、同時代の聴衆に寄り添う表現を達成。こうした制作背景が、本曲の親しみやすさと舞台効果を支えている。
有名な演奏・映画での使用
本曲は各種上演で取り上げられ、舞台公演のキャストによる録音やコンサート版で広く親しまれてきた。ミュージカル『Sweet Charity』は1969年に映画化もされているが、本曲が同映画で使用されたかについては情報不明。いずれにせよ、舞台の文脈でのライブ感が魅力を引き出すタイプのナンバーで、アンサンブルやレビュー形式のプログラムにも相性がよい。
現代における評価と影響
今日でも『Sweet Charity』の再演やコンサートで聴かれる機会があり、祝祭と涙という普遍的なモチーフが世代を超えて共感を呼ぶ。軽快な拍節と“笑いを誘う言葉”の並置は、後続のミュージカル・コメディにおけるナンバー構成の手本の一つともなり、演出次第でコミカルから温かい抒情まで幅広い表情を引き出せる点が評価される。教育現場やアマチュア公演でも、群像の空気を明るくする曲としてプログラムに採用されることがある。
まとめ
I Love To Cry At Weddingsは、コールマンとフィールズによる洗練とユーモアが凝縮された劇中歌。結婚式という普遍的な場面を通して、人の心に宿る素直な涙と連帯感を肯定的に描く。舞台装置としての機能性と単体曲としての魅力を兼ね備え、再演のたびに新しい解釈を誘発してきた。『Sweet Charity』の世界観を体現するナンバーとして、今後も上演や録音で生命力を保ち続けるだろう。