In A World Of My Own
- 作曲: FAIN SAMMY

In A World Of My Own - 楽譜サンプル
In A World Of My Own|作品の特徴と歴史
基本情報
本作は、作曲サミー・フェイン、作詞ボブ・ヒリアードによるディズニー映画『ふしぎの国のアリス』(1951)収録の劇中歌。劇中では主人公アリスの声を務めたキャスリン・ボーモントが歌唱し、夢想家である彼女の性格と物語の出発点をやわらかく提示する。初出年は1951年。詳細な初演データの記録は情報不明。
音楽的特徴と表現
穏やかなテンポと流麗なメロディ、木管やストリングスを中心としたオーケストレーションが特徴。フェインらしい耳に残る旋律線が、アリスの空想世界への憧れを繊細に描く。ボーモントの素朴な歌声と軽やかな伴奏のコントラストが、無邪気さと内省の両面を表現している。劇伴への主題的な接続により、場面転換の導入にも自然に機能する。
歴史的背景
戦後のディズニーは長編アニメの音楽面でスタジオ色を確立しつつあり、本曲もその一環として制作された。ルイス・キャロル原作の不条理さを、直接的説明ではなく歌の情緒に託す手法が採られ、主題歌群の中で“現実逃避と想像力”を端的に示す位置づけを担った。制作年やセッションの詳細記録は情報不明だが、1951年公開作における重要な導入歌として認知されている。
使用された映画・舞台(該当時)
映画では序盤、草原でアリスが日常から離れ“自分だけの世界”を思い描く場面に登場。映像は動物や花々のイメージとともに展開し、後の冒険へ観客を誘う導入曲として機能する。公開当時の舞台版での採用や並行公演に関する一次資料は情報不明。オリジナル・サウンドトラック音源として作品とともに聴かれてきた点は広く知られている。
現代における評価と影響
今日では、ディズニー・ソングの中でも“キャラクターの内面開示”を担う代表例として言及されることが多い。劇的なクライマックス曲ではないが、親しみやすい旋律と内省的な歌詞が、作品全体のテーマ理解を支える。カバーや編曲の網羅的リストは情報不明ながら、サウンドトラック再発や関連企画を通じて継続的に鑑賞され、世代を超えて受容されている。
まとめ
『In A World Of My Own』は、派手さよりも情感と語りを重視した小品で、アリスの視点と物語の基調を優しく示す。作曲サミー・フェインの旋律美と、丁寧なオーケストレーションが印象を決定づける。詳細資料に未確認点は残るものの、映画音楽史における“キャラクター・ソングの役割”を考える上で重要な一曲である。