It Never Rains In Southern California

#洋楽ポップス

It Never Rains In Southern California - 楽譜サンプル

1972年に発表されたアルバート・ハモンドの代表曲。作曲・作詞はハモンドとマイク・ヘイズルウッドの共作で、同名アルバムのタイトル曲としてリリース。柔らかなメロディのポップ／ソフトロックで、ラジオ・フレンドリーな音作りが特徴。米国を中心に広くヒットし、彼の名を世界に広めた。

タイトルは「南カリフォルニアには雨が降らない」だが、歌詞は晴天のイメージと裏腹に、夢を抱いて西海岸へ向かった語り手が現実の厳しさに直面する物語。仕事も住まいも定まらず、故郷への体面から弱音を飲み込み、皮肉なフレーズで取り繕う。気候の比喩で、期待と挫折を普遍化した点が魅力だ。

70年代初頭はシンガー・ソングライター隆盛期で、個人的体験がポップスの中心に浮上した。本作も西海岸カルチャーへの憧憬と、その裏側の現実を同時に映す。ジブラルタル出身のハモンドが米国進出の節目に放った楽曲として位置づけられる。

オリジナル録音が最も知られるが、各国でカバーが継続。映画・ドラマでの具体的な使用作品名は情報不明だが、南カリフォルニアを象徴する曲として文脈的に引用されることがある。

現在も「カリフォルニア・ドリーム」を相対化する名曲として扱われ、プレイリストで定番化。穏やかなサウンドとビターな物語性の対比が新世代にも届き、ハモンド／ヘイズルウッドの職人的作法は多くの後続に影響を与えたと評価される。

心地よいメロディに乗せて夢と現実の落差を描いた普遍的ポップ。晴天の比喩が成功神話の光と影を映し出す。初聴きは歌詞の物語に注目して味わいたい。