It's So Easy

#洋楽ポップス

It's So Easy - 楽譜サンプル

「It's So Easy」は、バディ・ホリー（Buddy Holly）とノーマン・ペティによる作品。クレジットは「HOLLY BUDDY CHARLES, PETTY NORMAN」。1958年、ザ・クリケッツ名義のシングルとして発表されたロックンロール曲である。作詞者の個別表記は情報不明。

恋に落ちるのは簡単だ、と繰り返す印象的なフックを中心に、若い恋の高揚と無邪気さを描く。直接的な語彙とコーラスの呼応が踊り出したくなるビートと結び付き、明るいムードを生む。一方、軽やかさの裏に「簡単に壊れうる心」のニュアンスも滲み、短い言葉で感情の起伏を伝える点に魅力がある。

1950年代後半、ロックンロールは全米の若者文化を牽引し、簡潔なフックとアップテンポなリズムがラジオを席巻していた。本曲もその文脈にあり、ホリーのメロディ志向とリズム感、ペティのスタジオワークが結実。エレキ・ギターのカッティングとドラムのドライヴが、当時の録音美学を端的に示している。

代表的な録音としては、オリジナルのザ・クリケッツ版に加え、1977年のリンダ・ロンシュタットによるカバーが広く知られる。同名異曲としてGuns N' Rosesの「It's So Easy」があるが、別作品で本曲とは無関係。映画での顕著な使用例は情報不明。

短い尺で強いフックを残すソングライティングの好例として評価され、パワー・ポップやカントリー・ロックの感性にも接続。ロンシュタット版は女性ロック・ボーカルの定番曲として定着し、原曲の普遍性を改めて示した。テンポ感の良さから、現在もプレイリストやDJセットで機能する。

「It's So Easy」は、単純明快な言葉とビートで恋の高揚を切り取ったロックンロール・クラシックである。1950年代の空気を閉じ込めつつ、後年のカバーにより世代を超えて歌い継がれた。明るさと脆さの二面性が、今なおリスナーの心を捉え続ける理由だろう。