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Lady In Red, The

  • 作曲: DE BURGH CHRIS,BURGH CHRIS (DE),DAVISON CHRISTOPHER JOHN
#洋楽ポップス
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Lady In Red, The - 楽譜サンプル

Lady In Red, The|歌詞の意味と歴史

基本情報

1986年に発表されたChris de Burghの大ヒット・バラード。アルバムInto the Lightからのシングルで、作詞作曲は本人(本名Christopher John Davison)。落ち着いたテンポと柔らかなシンセ、クリーンなギターを軸に、温かなボーカルが前景化する。英国ではシングルチャート1位、米国でも上位に入り、世界的な代表曲となった。ミニマルな構成が聴き手のイマジネーションを促し、時代を超えて愛されている。

歌詞のテーマと意味

語り手が赤い装いの女性に見惚れ、あらためてその存在の尊さに気づく瞬間を、親密な一人称で綴る。派手さよりも「見落としていた魅力を再発見する」視点が核で、長く連れ添う相手への敬意と感謝がにじむ。繰り返し登場する印象的なフレーズは、記憶に焼き付けたいという願いの象徴であり、スローダンスの情景と強く結びつく。物語性はシンプルだが、余白の多い言葉運びが聴き手それぞれの体験へと接続していく。

歴史的背景

中盤以降の80年代ポップはデジタル機材の導入が進み、温度感のある声とシンセのレイヤーを調和させる手法が主流化した。本曲もその文脈にありつつ、過度な装飾を避けた簡潔な編曲で普遍性を獲得。作者は、身近な人を“初めて見た瞬間”の鮮烈さを忘れがちなことへの気づきから着想したと語られており、日常に潜むロマンスを掬い上げた作品として受け止められてきた。結果として、当時の音作りと永続的なテーマが高い親和性を示す形となった。

有名な演奏・映画での使用

決定版はChris de Burgh自身のスタジオ録音と各種ライブ・パフォーマンス。穏やかなテンポがもつ間合いの良さから、ホテルラウンジやイベントでのカバーも多い。具体的な映画・ドラマでの使用情報は情報不明だが、ロマンティックな場面のBGMとして一般に想起されやすい楽曲である。演奏では、スローテンポのキープと語るようなボーカルのニュアンスが鍵となる。

現代における評価と影響

今日では80年代バラードの象徴として、ラジオやプレイリストで継続的に聴かれている。派手な転調や大仰なクライマックスに頼らず、言葉とメロディの近さで感情を届ける設計は、後年のアダルト・コンテンポラリー系作品にも影響を与えた。結婚式のファーストダンス曲として選ばれる例も見られ、世代を超えた定着ぶりを示す。サウンド面では、シンセと生楽器のバランス感覚が今なおリファレンスとなっている。

まとめ

『The Lady in Red』は、特別な誰かを“今この瞬間”のまま愛おしむ視線を描いたロマンティック・バラードである。控えめな編曲、忘れがたいフック、誠実な歌唱が三位一体となり、発表から数十年を経ても色褪せない魅力を保ち続けている。個人的な感情を普遍的な言葉へ昇華させた点で、ポップ史における重要曲の一つといえる。