Nobody Told Me

#洋楽ポップス

Nobody Told Me - 楽譜サンプル

Nobody Told Me はジョン・レノンの遺作アルバム『Milk and Honey』（1984年）収録のシングル。1980年ニューヨーク録音を基に没後発表。軽快なロックの推進力と覚えやすいフックで各国チャート上位に入り、ソロ期の代表曲として知られる。

歌詞は、日常に潜む不条理や情報過多の混沌を機知とユーモアで観察する。ニュースや街の雑踏、偶然の連鎖といったモチーフが反復と語感の遊びで結ばれ、戸惑いと軽やかな肯定が同居。断定を避ける書法が、多義的な解釈を促す。

本曲は1980年の復帰セッションで形になり、当初はリンゴ・スターへの提供曲として想定されていた。12月の事件で計画は途絶えるが、残されたテイクをもとに1984年に公式リリース。『Double Fantasy』期の温度感を保ちながら、よりストレートなロック志向が際立つ。

有名なカバーや映画での顕著な使用は情報不明。ただし追悼公演やトリビュート企画で取り上げられる機会は多く、ラジオやプレイリストでも定番化している。

現在も、鋭い時代感覚とポップな即時性の両立が評価される。象徴的な一節はメディアの見出しにも引用され、社会の違和や予測不能性を示す表現として定着。80年代初頭の音像ながら過度な装飾に寄らず、初聴者にも届く普遍性が支持を広げている。

総じて、晩年の洞察とユーモアが同居したロック・チューン。普遍的テーマと強いフックにより、今なお長く聴かれている。