One Morning in May
- 作曲: CARMICHAEL HOAGY

One Morning in May - 楽譜サンプル
One Morning in May|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「One Morning in May」は、作曲ホーギー・カーマイケル、作詞ミッチェル・パリッシュによる1933年の楽曲。英語詞の歌物で、ジャズ・シーンで広く取り上げられてきた。なお、英米の伝承歌に同名曲が存在するが、本作はそれとは別のポピュラー歌曲である。初出の出版年や初録音の詳細以外の細目は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかで流麗な旋律と、カーマイケルらしい叙情性を備えた和声進行が特徴。ボーカルでは言葉のニュアンスを活かしたレガートが映え、テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く解釈される。小編成のギター/ピアノ伴奏からビッグバンドまで、編成を選ばず映える点も魅力である。
歴史的背景
発表は1933年。大恐慌期のポピュラー音楽界では、ダンス・バンドとラジオ放送が楽曲普及の要であり、本作もその文脈で広まった。カーマイケルとパリッシュは「Stardust」でも名コンビとして知られ、本作も同時代のロマンティックな歌世界を体現する一曲として受容された。映画起点のタイアップは情報不明。
有名な演奏・録音
早い時期の録音として、Ray Noble楽団(ヴォーカル:Al Bowlly, 1933年)がしばしば言及される。以後、英米のダンス・バンドやジャズ・ボーカリスト、ピアノ・トリオなどに広く採り上げられ、多数の録音が存在する。個別のチャート成績や映画での使用の詳細は情報不明。
現代における評価と影響
今日ではグレート・アメリカン・ソングブック系のレパートリーとして位置づけられ、歌手の表現力やフレージングを磨く教材曲としても重宝される。春の朝を想わせるタイトルと抒情的なメロディが相まって、季節のプログラムやスタンダード集の中で息長く演奏され続けている。
まとめ
「One Morning in May」は、1930年代の叙情美とジャズ的語法が出会う佳曲であり、歌でも器楽でも味わい深い。確定情報が限られる点はあるものの、初期の録音から現在のライブ現場まで継承される柔軟さが、そのスタンダード性を裏づけている。入門者にも演奏者にも勧めたい一曲だ。