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One Night In Bangkok

  • 作曲: ANDERSSON BENNY GORAN BROR,RICE TIM,ULVAEUS BJOERN K
#洋楽ポップス
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One Night In Bangkok - 楽譜サンプル

One Night In Bangkok|歌詞の意味と歴史

基本情報

「One Night In Bangkok」は、ミュージカル『CHESS』のために制作された楽曲で、作曲はBenny AnderssonとBjörn Ulvaeus、作詞はTim Rice。1984年のコンセプト・アルバムで発表され、Murray Headが語り口のヴァースを歌い、コーラスは別ボーカルが担う構成で世界的ヒットとなりました。シンセ・ポップを軸に、演劇的なドラマ性を備えたサウンドが特徴。米国ではトップ10入りを果たし、80年代ポップ史を語る上で欠かせない一曲として定着しています。

歌詞のテーマと意味

歌詞は国際チェス大会の開催地であるバンコクを舞台に、語り手が都市の喧騒、ナイトライフの誘惑、観光的視線とプロの競技者としての冷静さを対比させます。浮ついた夜の魅力に距離を取りつつ、勝負への集中を強調するアイロニーが核。都市を消費する短期滞在者の目線と、競技の厳格さをぶつけることで、名声・快楽・勝利といった現代的価値観の緊張を描き出します。直接の断定ではなく、皮肉と比喩を用いた語りが聴き手の解釈の余地を広げています。

歴史的背景

本作はABBA解散後、AnderssonとUlvaeusがTim Riceと組んだ新機軸『CHESS』の中核曲。冷戦下の東西対立をチェスに投影する物語世界において、開催地の文化やメディア報道の視点を織り交ぜ、80年代のグローバリゼーションの空気感を映します。プロダクション面では当時最先端のシンセサイザーとドラムマシンを活用し、演劇的な語りとポップ・コーラスを融合。コンセプト・アルバム先行で話題を喚起し、のちの舞台版成功へとつながりました。

有名な演奏・映画での使用

Murray Headによるオリジナル・シングルが定番で、各国の舞台版・コンサート版『CHESS』でも欠かせないナンバーとして再解釈が重ねられています。ダンス/クラブ系のリミックスやポップ・カバーも数多く制作され、世代や文脈を超えて再流通。テレビ番組やスポーツ会場のBGMとして採用されることもあり、印象的なイントロとサビが単体のポップ・アンセムとして機能してきました。具体的な映画での使用は情報不明です。

現代における評価と影響

ラップ的な語りとキャッチーなコーラスを組み合わせた構成は、後年のポップ/ダンス・トラックにも通じる先進性を示しました。一方で都市表象に関する受け止め方は多様で、ステレオタイプや観光的視線をめぐる議論も生んでいます。音楽的にはシンセ・ベースの推進力、印象的なメロディ、演劇的ダイナミクスが評価され、ミュージカル発の楽曲が単独ヒットとなるモデルケースとしてもしばしば言及されます。

まとめ

「One Night In Bangkok」は、80年代シンセ・ポップの洗練とミュージカル的物語性を両立させた名曲です。短期滞在者の視線と勝負師の矜持を対置する歌詞が、都会の熱気とアイロニーを鮮烈に描写。『CHESS』という枠を超えて独自の生命力を獲得し、今日までカバーや再演が絶えない理由もここにあります。制作背景や表現手法を知ることで、楽曲の多層的な魅力がいっそうクリアに立ち上がるでしょう。