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My Romance
- 作曲: RODGERS RICHARD

My Romance - 楽譜サンプル
My Romance|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『My Romance』は、作曲家リチャード・ロジャースと作詞家ロレンツ・ハートによる楽曲で、1935年のブロードウェイ・ミュージカル『Jumbo(ジャンボ)』で初演された。原曲は歌付きだが、その旋律美と和声の豊かさから、ボーカル/器楽の両方で広く演奏されるジャズ・スタンダードとして定着している。出版・初演の細部(初演歌手や初録音)は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
AABAの32小節形式を基本とし、ゆったりとした抒情的メロディが特徴。Iを基調に、循環進行やセカンダリー・ドミナントを用いた流麗なコードが続き、即興の余地が大きい。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、イントロでルバートを置く解釈も一般的。ピアノ・トリオでは3拍子への換骨奪胎も見られ、ハーモニーの再構築や転調的彩りを加えるアレンジが好まれる。
歴史的背景
楽曲はサーカスを題材にした『Jumbo』の一曲として発表され、ロジャース&ハート黄金期を代表するレパートリーのひとつとなった。戦後にはジャズ・ミュージシャンに広く取り上げられ、アメリカン・ソングブックの核を成す存在に。1962年の映画『ビリー・ローズのジャンボ』でも用いられ、大衆的認知をさらに高めた。舞台内での具体的な配置やシーンの詳細は情報不明。
有名な演奏・録音
代表的な録音として、ビル・エヴァンス・トリオ『Waltz for Debby』(1961年)の名演が挙げられる。エラ・フィッツジェラルド『Sings the Rodgers & Hart Song Book』(1956年)では歌詞の妙味と旋律美が存分に示され、オスカー・ピーターソン『Plays the Richard Rodgers Songbook』(1959年)は器楽的なスウィング解釈の模範となった。映画『ビリー・ローズのジャンボ』(1962年)の使用も記憶に残る。
現代における評価と影響
今日では、セッション現場や音楽教育の現場で頻繁に扱われる定番。シンプルな主題と柔軟なコード進行は、ボイシング研究やバラード表現、3拍子アレンジの教材としても有用で、シンガーからピアニスト、ギタリストまで幅広く愛好されている。多様な解釈を受け止める包容力が、長寿のレパートリーとしての価値を支えている。
まとめ
『My Romance』は、舞台発の名曲が時代を超えてジャズの文脈で洗練され続けた好例である。歌としての叙情と器楽曲としての発展性を併せ持ち、入門者にも上級者にも示唆を与える。歴史と実践の双方で学びが多い一曲として、これからも演奏の現場で生き続けるだろう。