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Just A-Sittin' and A-Rockin'

  • 作曲: ELLINGTON DUKE,STRAYHORN BILLY,GAINES LEE OTHO
#スタンダードジャズ
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Just A-Sittin' and A-Rockin' - 楽譜サンプル

Just A-Sittin' and A-Rockin'|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Just A-Sittin' and A-Rockin' は、Duke Ellington と Billy Strayhorn が音楽を手がけ、Lee Gaines が詞を書いたジャズ曲。1940年代前半にエリントン楽団のレパートリーとして広まり、ヴォーカル曲として知られつつ、器楽曲としても多く取り上げられてきました。洒脱で耳に残るタイトルどおり、ゆったりと腰掛けて体を揺らすようなムードが核にあり、ダンス・フロアでもリスニングでも映える「歌えて鳴らせる」標準曲の一つです。

音楽的特徴と演奏スタイル

ミディアム・テンポのスウィング感が要。メロディはブルース語法を湛え、短い動機の反復や呼応が印象を形づくります。ビッグバンドでは、サックス・セクションの滑らかなレガートとミュート・ブラスの合いの手が色彩を与え、コンボ編成ではピアノのコンピングとウォーキング・ベースがリラックスしたグルーヴを支えます。ヴォーカルでは後ノリのフレージングと明瞭な子音処理が効果的。器楽ソロは歌心を重視し、過度な技巧よりもスウィングの揺れを活かす解釈が好まれます。

歴史的背景

エリントンとストレイホーンの協働が円熟へ向かう時期に生まれた作品で、楽想の洗練と親しみやすさの両立が顕著です。作詞のリー・ゲインズは低声域の表現で知られる歌手で、飾らない言葉運びが楽曲の気分に寄与しました。第二次世界大戦期のアメリカで、ビッグバンドが娯楽と慰撫の役割を担っていた流れの中、本曲は日常のくつろぎをテーマにした軽妙さで広く支持され、楽団のコンサートやラジオ放送でも親しまれました。初演の詳細は情報不明です。

有名な演奏・録音

デューク・エリントン楽団による複数の録音が広く知られ、以後もヴォーカル/インストの双方で数多く記録されています。ビッグバンドではアンサンブルの陰影とダンス寄りの推進力、スモール・コンボでは余白を活かした会話的なソロが聴きどころ。代表的な個別録音の網羅的リストは情報不明ですが、エリントン楽団の各年代の音源を比較すると、テンポ設定やブラスのミュート使いの違いによる表情変化が把握しやすく、鑑賞・研究の入口として有用です。

現代における評価と影響

本曲はセッションで取り上げやすい中庸のテンポと明快な動機性により、教育現場からプロの現場まで定着。歌伴の練習曲としても適しており、リズム・セクションはスウィングの「揺れ」とダイナミクス設計、管楽器は短句のリズム配置やブレス位置の工夫を学べます。聴衆にとっては、肩の力が抜けた気分を味わえる入門的スタンダードであり、セットリストの緩急をつける中継ぎ曲としても機能します。

まとめ

Just A-Sittin' and A-Rockin' は、軽やかなスウィングと親しみやすい動機で、歌・演奏の双方に開かれたジャズ標準曲。歴史的にはエリントン=ストレイホーンの美学を日常的情感に落とし込んだ佳品であり、今日でもレパートリー構築やアレンジの題材として価値を保ち続けています。初演や一部ディスコグラフィーの詳細は情報不明ながら、複数の年代の録音を追うことで、楽曲の懐の深さを実感できるでしょう。