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Perdido (Line)

  • 作曲: TIZOL JUAN
#スタンダードジャズ
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Perdido (Line) - 楽譜サンプル

Perdido (Line)|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Juan Tizol作曲のPerdidoは、デューク・エリントン楽団のレパートリーとして広く知られるジャズ・スタンダード。「Perdido (Line)」は、歌詞を伴わないライン=器楽主題版を指す表記で、セッション現場で頻出する。作詞者や初出年は情報不明だが、タイトルはスペイン語で「失われた」を意味する。楽器編成やテンポの自由度が高く、ビッグバンドから小編成まで対応可能な汎用性が魅力である。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は32小節AABA型が一般的。軽快なミディアム〜アップのスイングで、A部は印象的なリフと明快なトニック志向、B部では機能的なツー・ファイブ進行が連鎖する。メロディはシンプルかつリズム的で、コール&レスポンスのアレンジが映える。ソロはダイアトニックとブルーノートを織り交ぜ、ブリッジで展開力を見せるのが定石。ブレイクやキメを要所に配すと、ダンス性とジャズ的ドライブが両立する。

歴史的背景

作曲者のフアン・ティゾルはプエルトリコ出身のバルブ・トロンボーン奏者。エリントン楽団で「Caravan」と並ぶ代表作を提供し、ダンスホールに映えるキャッチーな主題と即興の余地を両立させた。「Perdido」はビッグバンドからコンボまで幅広く演奏され、戦後のジャズ普及とともに定番化した。後年英語詞が付けられ歌唱版も存在するが、ライン版は器楽曲としてのコアを強調する。具体的な初演・出版年は情報不明。

有名な演奏・録音

名演としてはエリントン楽団の各種録音が基準点となり、ヴォーカルではエラ・フィッツジェラルドのスキャットで知られるテイクが人気。さらに多くのジャム・セッションや教育用音源でも取り上げられ、トランペットやサクソフォンのソロ・ビークルとして機能してきた。ビッグバンドではシャウト・コーラスを拡張したアレンジが映え、小編成ではリフの受け渡しで熱量を高める。映画での使用は情報不明。

現代における評価と影響

今日もセッションの常備曲として扱われ、初学者のアドリブ導入から上級者のリズム処理・モチーフ展開の訓練まで有効。コード進行を転用した新主題(コントラファクト)の素材にもなり、「Line」と併記される版はその実践的性格を示す。教育現場ではフォーム把握、リフ構築、ブリッジの和声運動の学習に好適で、プログラムでもアンコールやダンス・ナンバーとして定着している。

まとめ

キャッチーなリフ、扱いやすい和声、自由度の高い即興空間を併せ持つ「Perdido (Line)」は、時代や編成を超えて生き続けるジャズ・スタンダードである。歌詞版も存在するが、ライン版は器楽曲としての強度を際立たせる。基礎を押さえたうえで、テンポ設定、キー選択、ブレイクの置き方などを工夫すれば、演奏の魅力が一段と引き立つだろう。