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Straight Life
- 作曲: HUBBARD FREDDIE

Straight Life - 楽譜サンプル
Straight Life|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Straight Lifeは、トランペッターのフレディ・ハバードによるインストゥルメンタル作品。初出は1970年にCTIレーベルから発表されたアルバム『Straight Life』で、同作のタイトル曲として収録された。作曲者はHUBBARD FREDDIE。歌詞は存在せず、歌唱を伴わない純粋な演奏曲である。レコーディングや初演の正確な日時は情報不明だが、CTI期のハバードを代表する一曲として広く認知されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
本作は長尺のグルーヴを基盤に、モーダルな展開と拡がりのある即興を重視した構成が特徴。反復的なベースの推進力とエレクトリック・ピアノの響きがサウンドの核を成し、リズムはジャズ・ファンク/ポスト・バップ寄りのドライヴ感を帯びる。テーマ自体は簡潔で、ソロ・パートに広い余白が確保されており、トランペット、テナーサックス、エレピが次々と高密度のアドリブを展開する。音色のコントラストとダイナミクスの大きな波が、聴取の焦点を「グルーヴの持続」と「即興の起伏」に集約している。
歴史的背景
1960年代後半から70年代初頭にかけて、ハードバップの語彙にロック/ファンク的なリズムや電化サウンドを取り込む動きが加速した。ハバードもこの潮流の中心におり、CTI在籍期はスケールの大きな音像とモダンなプロダクションで評価を高めた。『Straight Life』は、同年の『Red Clay』に続いて示された彼の新機軸をさらに押し広げ、クラブ/コンサート双方に通用する拡張型アンサンブルの可能性を示した作品群の一角を占める。
有名な演奏・録音
最も知られる音源は1970年のオリジナル・アルバム収録テイクで、フレディ・ハバード(tp)を中心に、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ハービー・ハンコック(electric p)、ロン・カーター(b)、ジャック・ディジョネット(ds)、リチャード“パブロ”ランドラム(perc)らが参加したとされる。以降、ハバード自身によるステージでも頻繁に取り上げられたが、公的に発表された全てのライヴ盤での収録状況は情報不明。同名異曲として、アルトサックス奏者アート・ペッパーの「Straight Life」が存在するが、これは別作であり混同に注意が必要である。
現代における評価と影響
本作はCTIの洗練された音像と、ジャズの即興性を両立させた代表例として評価される。長尺でありながら、反復グルーヴの魅力とソロの高揚が持続する設計は、今日のフェス/クラブ文脈にも親和的で、再発やストリーミングを通じて新たな聴衆を獲得し続けている。アンサンブル・バランス、電化鍵盤の音色選択、リズム隊の推進力などは、後続のクロスオーバー的アプローチにおいて参照点となっている。
まとめ
Straight Lifeは、フレディ・ハバードの作曲家/即興家としての力量を、CTI期の先鋭的なサウンド・デザインのなかで示した重要作である。明快なテーマ、持続するグルーヴ、広い即興空間という要素の組み合わせは、発表から半世紀を経ても色褪せない。長尺インストの醍醐味を体感できる一曲として、まずは1970年のオリジナル音源から聴くことを推奨する。