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All Of You
- 作曲: PORTER COLE
All Of You - 楽譜サンプル
All Of You｜楽曲の特徴と歴史
基本情報
「All Of You」は、作曲家コール・ポーターによるスタンダード・ナンバー。ブロードウェイ・ミュージカル「Silk Stockings」で用いられ、その後の映画版（1957）でも採用された。都会的でウィットに富む歌詞と、洒落た旋律が特徴で、ジャズ／ポピュラー双方で広く親しまれている。現在もセッションやリサイタルの定番として演奏機会が多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
多くの演奏でAABA型の32小節形式として解釈され、バラードからミディアム・スウィングまで幅広いテンポに適応する。半音階的な内声進行と入念な転回和音が滑らかなメロディを支え、リハーモナイズの余地も大きい。歌では言葉のアクセントを活かしたレガート、器楽ではテーマの装飾と余白の使い方が鍵となる。
歴史的背景
1950年代半ば、ポーターは円熟期にあり、映画化も視野に入れた舞台作品で洗練の筆致を示した。「All Of You」はその代表格で、ブロードウェイからハリウッドへと広まる過程で、ジャズ・ミュージシャンに取り上げられレパートリー化。社交場のダンス音楽から、モダン・ジャズの表現素材へと位置づけが拡張した。
有名な演奏・録音
名唱としては、Ella Fitzgeraldの「Cole Porter Song Book」（1956）が特に知られる。器楽ではMiles Davisの1964年ライヴ・レパートリーが名高く、長尺の即興で構造美を浮かび上がらせた。映画『Silk Stockings』（1957）でも楽曲が用いられ、映像文化を通じて一般聴衆へ届いた。ほか多数の歌手・奏者が録音。
現代における評価と影響
今日では「ジャズ入門にも適し、奥行きも深い」教材曲として扱われることが多い。歌詞の機知は翻訳を介しても魅力が保たれ、英語の韻律研究の題材にもなる。コード進行はギターのコードメロディ、ピアノのソロ化、管楽器のアドリブ練習に適し、アレンジ次第でクラブからコンサートホールまで映える。
まとめ
「All Of You」は、ポーター特有の洗練と親しみやすさを兼ね備え、世代やジャンルを越えて演奏され続ける名曲である。舞台・映画由来のポピュラリティと、ジャズ的探求に耐える構造の両立が、その生命力の源泉だ。初出の詳細年など一部は情報不明だが、楽曲価値は現在も不変と言える。